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プロローグ
その瞬間は唐突に訪れてしまった。
体全体に激痛が走る。
たった数分前までの自分を嘲笑うかのように。
今日という日も彼と共に生きて終えることができると思っていた。
明日も。その次も。そのはずだった。
思わず天に向かって手を伸ばしていた。
残念だが後悔しても"もう一度"はない。
わかっているのにそうせずにはいられなかった。そして案の定、掴んだのは虚空だった。
最後に彼の姿を脳裏に焼き付けておこうと彼を見る。
彼もまたこちらをみていた。
視線が一瞬交錯する。彼の青色の目は深い哀愁の意を漂わせていたが、すぐに彼の姿は見えなくなった。先にいったのだろう。
彼とのさまざまな思い出が駆けめぐる。
泣きそうになりながらも顔を上げて叫んだ。遠くにいる彼にも聞こえるように。
"ありがとう"
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