②幼なじみのマリアのお尻が最高だなんて聞いてない。
駅に向かって歩いていると、後ろから声をかけられた。
「凛太郎、おはよう」
振り返ると少し離れた場所に、幼なじみである春日マリアがいた。
マリアは栗色の長い髪を耳にかけ、うさぎのように円らな瞳をしながら手を振っている。
「おー、マリア、おはよう」
「凛太郎、お誕生日おめでとう!プレゼントがあるの」
マリアはニコニコ笑いながら、俺の元へ駆け寄ってきた。
が、小石に躓き、勢いよく倒れてきた。
「きゃあっ」
「うおっ!」
油断していた俺は、マリアの下敷きになった。
視界いっぱいに広がる、制服の白いシャツと赤いリボン。そして顔に押し付けられる、むにっとした柔らかな感触。
え、おっぱいじゃん。これがマリアの誕生日プレゼントってことか!?
花のような、お菓子のような甘い匂いに包まれて、俺は自分の下半身に熱が集まるのを感じた。
「ご、ごめん!」
体を起こそうとしたマリアの膝が、俺の股間に勢いよくぶつかった。
「うごっ!!」
男にしかわからない激痛。俺は痛みに悶える。
天国から一気に地獄に落とされた。
「ごめんね凛太郎くん、私がのしかかって痛かったよね!?ごめんね!」
「ぐっ…だ、大丈夫だ。マリアこそ怪我はないか?」
半泣きになるマリアを慰め、俺は体勢を立て直した。
正直股間は痛いが、マリアに心配をさせないでいようと必死だった。
「うう、私ってどうしていつもこうなんだろう…」
「気にするな」
凹むマリアと共に駅へ向かう。
通勤、通学の時間帯である今は、ホームにたくさんの人がいた。
電車を待っていると、マリアは突然思い出したかのように言った。
「あ!そうだ、プレゼント渡してなかったよね?ちょっと待っててね。あれー、見つからない…」
ベンチに鞄を置き、マリアは俺にお尻を向けながら鞄の中身を漁っている。
パンツが見えるか見えないかの瀬戸際で、俺の視線は釘付けである。凝視していると、スカートに米粒が付いているのを発見した。
「マリア、スカートに米が付いているぞ」
取ろうと手を伸ばした瞬間、俺は通りがかった人にぶつかり、体勢を崩した。
むにゅ。
伸ばした手は、マリアのつるつるなお尻を掴んでいた。
これまで感じたことのない感触だった。
指先が滑るような滑らかな肌に、程よい脂肪と筋肉のバランス。指を押し返すような弾力は、果汁たっぷりの果物のようだ。
だめだ、勃起不可避。
俺は無意識のうちに、マリアの尻を揉んでいた。
「ちょ、ちょっと凛太郎くん!」
顔を真っ赤にしたマリアに叱られ、俺は我に返った。
「わ、悪い!」
慌ててマリアから離れると、ベンチの脇にあった鉄柱に勢いよく頭をぶつけてしまった。
「いってぇ!」
「凛太郎くん、大丈夫!?」
俺は身悶えながら、今日はラッキーなのかアンラッキーなのか図りかねていた。
ちなみに、マリアからのプレゼントはハンドタオルだった。
それ以上のプレゼントを、すでに俺は貰っていたのだが。