第9話
リタがフィーナ達の元へ戻るとダンも結界を張り、安全を確保してから休んでいた
「ダンさん、女性たちの料理の準備が整いましたよ!フィーナも動けるように全種類少しずつわけて持ってきました。」
「ん...リタ君か、ご苦労だったな。よし、フィーナを起こすとしよう。」
「はい!」
「フィー…フィーナ、起きて。村のみんながフィーのためにご飯を作ってくれたぞ、村にまだまだたくさん用意してるからここで少し食べて元気になったら村に食べに戻ろう!」
リタの呼びかけでフィーナは目を覚まし、ゆっくりと体を起こした。
「フィー、おはよう。体は大丈夫?少しは良くなった?」
「んん…リタ?それに村長さんも…私…何があったの?」
「フィーは氷の魔道具の運搬中に栄養失調で倒れちゃったんだ、だから
村のみんなに協力してもらってフィーのためにたくさんご飯を作ったんだ。」
「そうだったんだ…ありがとう。」
「お礼は僕らじゃなくてこれ食べて村に戻ってから村のみんなに言ってあげて」
「…そうだね、うん。そうする。」
フィーナはリタから小皿を受け取り、涙を流しながら頷いた。
「ダンさんも食べましょう!少しづつですけど三人分持ってきてるので」
「そうか…ではいただくとしよう」
「「「いただきます!!」」」
「うまい…本当にうまい…ここまで食事がうまいと感じたのは久しぶりだ!」
「ほんとですね…めちゃくちゃにおいしいです…」
「…っ…うぅ…」
「フィーナ?大丈夫?」
「どうしたんだ、そんなに泣きじゃくって。」
「だって…本当に凄くおいしくて…普段は家に引きこもって一人で食べてたからただの栄養補給としか思っていなかったけど、みんなで食べるとこんなにおいしいんだね…」
「何言ってるんだ、ここには三人しかいないけど村に戻ればみんながいる。今フィーが味わっている何倍もの幸せとおいしさが待ってるんだぞ。さぁ、帰ろう!」
「そうだね、帰ろう。」
三人はアルア村に向かって歩みを進めた。
「ねぇ、リタ。」
まだ足元がおぼつかないフィーナが口を開いた。
「ん?どうしたんだ?」
「今日は、ありがとね。リタが、私のために頑張ってくれてたんでしょ?」
「幼馴染が危ない状態なのに頑張らないやつがどこにいるんだよ。もし、フィーを助けるために代償が必要だったとしても俺は喜んで差し出すよ。家だろうと、今までのみんなとの思い出だろうと、何でも。」
「…そっか。」
フィーナはどこか安心したような笑顔で返した。