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夜の明けぬ村  作者: 五月七日時雨
5/12

第5話

「あぁ。もうすぐアルア村の生活が劇的に良いほうに変わると思うと今から心が躍るな!」

ダンが満面の笑みを浮かべ、運搬に同行した者たちの話しかける。

「気を抜かないでくださいね、稼働前とはいえ魔道具であることには変わりないので何が起こるか分かりません」

フィーナが汗だくで運搬を手伝いながら注意する。

「さすがフィーね!どんな時も油断しないわ。...お父さん、ちゃんとしてよね!お父さんが気を抜いてて二人を怪我させたらどうするのよ」

「わかったわかった、すまないな。」

「いえ、ダンさんの気持ちわかりますよ。僕もすっごく楽しみで胸が躍っていますから。」

「やっぱり?そうだと思ったわ」

「?なぜそう思ったんだ、二ーナ」

「何年みんなと一緒にいると思ってるのよそれぐらい顔を見ればすぐわかりますよ!」

「ははっ、二ーナは僕たちのことならなんでもお見通しってわけか」

「さすがよ、リーナ!でも、あんたはちょっとわかりやすすぎね、今のは私でもわかるわよ。」

「そういうフィーも心躍らせているように見えるけど?」

「...そうね、やっぱりちょっと楽しみだわ」

そんな他愛もない会話をしながら各々が魔道具を運ぶ腕に力を入れなおした。

そして何事もなくダケイ山の中腹にある少し開けた場所に到着した。

「あぁ~~~、噂には聞いていたがここまでとは思わなかった..,」

ダンが座り込みながらこぼす。

「ですね...数ある魔道具の中でもトップクラスの重量とサイズですから」

「にしても重すぎよ...」

「二ーナ、大丈夫...?」

フィーナが二ーナに水の入ったコップを差し出した。

「あぁ...ありがとう、フィー」

二ーナは受け取った水を一気に飲み干すと先ほどまで疲弊しきっていた二ーナの顔がぱぁっと明るくなった。

「なにこれ...今なら一人で魔道具を村まで運べる気がしてきた!フィー、これはなんなの?」

「普通の川の水をろ過したものに少し体力回復を促進する成分を入れたの!あ、副作用とかはないから安心して」

「すごい...フィーって薬学も得意なのね」

「ううん、薬学じゃなくて体内の魔力のめぐりを促進させるものだからどちらかといえば私の得意分野なの」

「なんだ、フィーナ、そのようなものを持っていたのか!ぜひ私たちにも飲ませてくれ!」

「構いませんが...お二方は注意して飲んでください。」

「ん?どうしてだ?副作用はないんじゃなかったのか?」

「それが...最近分かったことなのですが、男性の方のみに副作用のような体調の異変が見られることがあるようなんです。」

「そうなのか...ちなみにどんな症状が出るんだ?」

「まだすべてがわかっているわけではないのでこれですべてとは言えませんが、全身に力が入らなくなるなどがあるようです。とはいえごく低い確率なのでおそらくは大丈夫でしょう。」

「そうなんだ...だったら大丈夫そうだね!もらってもいい?」

リタは安心したようにフィーナが用意した水を飲んだ。

「では私もいただこうかな」

続いてダンも口にした。両者ともに体に異常はない様子だ。

「よかった...じゃあそろそろ行こうか!」

「そうね!フィーの水のおかげですごい元気出てきたし!」

「だな!行こうか!そういえばフィーナは飲んだのか?」

「ん?あぁ、みんなに分けた後残ったものを飲んでるよ。大丈夫、みんなと同じく元気だよ」

「そっか、よかった。じゃあ改めて行こう!」

それから間もなくのこと

「ふぅ、もうすぐだな!」

「そうだね!ようやくだ」

「改めて村に着いたら任せたぞ、フィーナ」

「....はい...任せてください」


なにやらフィーナの様子がおかしい。ものすごい量の汗をかき、顔色も悪い。


「フィー。大丈夫?」

「だい...じょうぶじゃないかも」

「確かこのあたりに少し開けた場所があったはずだ、そこで様子を見よう。」

ダンの記憶どおり少し進んだ先に開けた場所があり、フィーナを横にさせた。

「フィーナ、何があったのかわかるか?」

「...ぃぃぇ、わからない、突然体がおかしくなって....」

「そうか...原因は何だ思う?わかるか?」

「ぃぇ...見当もつきません...」

フィーナの声が次第にか弱くなっていく。

「フィーナ?おい。フィーナ!」

「落ち着くんだ、リタ君。眠っただけだ。今は彼女が起きるまで経過を見ることにしよう。」

「はい...」


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