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最初のダメ出し

 ここまでやったんだから、きっと努力ぐらいは、かすみセンパイだって認めてくれるに違いない。

 そう期待していたわけだが、そんな僕はやっぱり甘かった。


「書き直し」


 放課後の選択授業教室で、センパイはあの、上から目線でそう宣告した。

 僕が眠い目をこすりこすり、胸を張って提出した台本。

 それは今、背中を丸めて机に向かう僕の目の前にある。

 表紙におおきなバッテンを打たれて。


「そんな、徹夜したのに……」


 ムダだと知りつつ、僕は抗議した。もちろん、かすみセンパイは聞いちゃいない。それどころか、怒鳴りつけられた。


「誰が書いていいって言った!」


 徹夜からほぼ半日経った頭が、くわんくわんと揺れた。割れ鐘をかぶせられて横っ面を殴られたみたいだった。

 その頭に、センパイの説教が怒涛となって逆巻く。


「あう……」


 呻く僕の前で、せっかく書いた台本はくるくると丸められ、講釈師の扇子よろしくすぱんすぱんと机を叩いていた。

 つらかったのは、放課後になって揺り返してきた徹夜明けのダメージだけじゃない。自分の分身ともいうべき、ひと晩かけた努力の結晶が全ての存在価値を否定され、見るも無残な虐待を受けていることだった。

 かすみ先輩は、まるで僕自身をいたぶっているかのようなサドっ気たっぷりな声で冷ややかに言った。


「訳も分からずにいきなり台本書くと、こういう目にあうのよ」

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