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その12時間前

 結局、何箇所か加筆訂正するという条件付きで台本は通った。

 その瞬間、かすみセンパイは苦笑を浮かべたような気がする。

 たぶん、これ以上はないと思った僕の台本に、自分の限界を見たのが悔しかったのだろう。

 でも、それはただ単に、センパイの個人指導があっても、ビギナーのすることには限界があったということにすぎない。

 僕は純粋に、感謝と尊敬の気持ちでいっぱいだった。

 ただ、それと同時に、なんだか寂しい思いもしていた。

 かすみセンパイがいっぺんに遠くなったような気がしてならなかったのだ。

 その日のうちに配役も終わり、僕は大道具係の末端に戻った。

 大道具の仕事は、夜遅くなるものである。日が暮れても、しばらくは明かりのあるところに舞台装置を移して作業をする。一日でも早く完成させるためだ。

 今までは、日が暮れる前に帰っていた。だが、連休明けてからの僕は一味違う。

 実は、その朝までが大変だったのだ。


ただいま……いや、今までちょっと。

周作! 今までどこほっつき歩いてたの不良みたいに! 



……誰が不良だよ、自分の息子捕まえて。

今、夜中の何時だと思ってるの! 寝ないで待ってたんだからね!



うるさい、僕の人生だ口出しするな、何にもなかったよ、ちっとは信用しろ!

 近所迷惑も構わず、偉そうなタンカを切ってフテ寝して、次の朝は遅刻寸前の状態で学校へスベリ込んだ。

 因みに、警察に電話するだの何だの大騒ぎしたのを抑えたのはオヤジなんだそうだ。この件で、僕はオヤジを結構見直した。

 ところで、そもそも何で僕が午前様になったのかというと……

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