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台本もクライマックスに向けて

 ……一晩経って、場面は翌日の教室に変わる。


 観の前でもじもじと恥じらうあきらを、小菅が急き立てる。


「……ほら」


 目をそらしながら、あきらはぼそりとつぶやく。


「……ごめん」


 観は妙に明るい声で答える。


「……気にして、ないから」


 その言葉の裏にあるわだかまりに、あきらは敏感に反応する。


「……小菅」


 ふだんはふざけ倒している小菅も、この日ばかりは爆発しかかる。

 だが、そこはぐっとこらえる。

 


「……もういいだろ、このへんで……ったく! なあ観、おまえもそういう……いやなんとなくまあ事情は知ってるけど、そこはそれ、あきらちゃんとは知らない仲でもないんだからあれだ、そう!」

 

 小菅の気遣いに感謝しながらも、観は自分のうちに閉じこもる。


「悪い、小菅、これだけは」


 小菅は怒りに、必死でブレーキをかける。


「そうかよ、もういいよ。俺はいいけど、あきらちゃんにだけは、な。腹割って……」


 あきらは、無理に笑ってみせる。


「観が言いたくないなら、いい」


 今度は、観がめをそらした。


「あきら……ごめん」


 小菅も、やけになってはしゃぎ回る。


「何それ何それ、じゃあ夕べの俺の苦労なに? 泣いてるアキラちゃんなだめてここまで連れてきた俺の立場ど~なんの?」


 そこへ担任に呼ばれた両親がやってきて、そこは懇談の場になる。


「気持ちは分かるが小菅くん、ここは僕に任せてくれないかな」

 

 意外な展開に、観は慌てふためく。


「親父……? おふくろ……? 先生、何で?」


 父親は、頭から観を怒鳴りつける。


「観! たるんどるんじゃないか、お前少し!」


 母親は母親で、理解のある母親を気取ってみせる。


「父さん! こういうときだけいいカッコしようったってダメよ」


 どちらにも耐えきれない観は、逆上する。


「もう、ほっといてくれよ!」


 その場の一同は、唖然として沈黙する。

 やがて、その場を出ていこうとする小菅が、皮肉たっぷりに言い捨てた。


「じゃあ頑張って、よい四者面談を。……行こうぜ、あきらちゃん。俺たちの出る幕じゃないってよ」


 その後に続くあきらが、物言いたげに振り向く。


「観……あたし……」


 小菅とあきらが出て行った後、担任は面倒臭そうに、夏休み中の生活についての説教を始める。ふてくされる観。叱る父親。軽く流す母親……。

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