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舞台平面はこんな感じで

かすみセンパイの手が、凄まじい速さで走る。


「他のキャストをこんな感じで配置するわけね」


さっきの見取り図に、舞台装置とキャストの立ち位置が描かれていた。


「あ、そう、こんな感じです!」


 客席にいちばん近い1袖(第1袖幕)と、その後ろの2袖(第2袖幕)の間に、廃屋の舞台装置が置かれている。

 1袖の裏にあるSSステージサイドスポットライトは、廃屋の壁を舐めるように照らすことになる。

 2袖の裏にもSSが描かれているが、これはまだ何の役割も果たしていない。

 廃屋を背景として観が立ち、それを両側から挟むようにして、他のキャストが配置されていた。

 下手に担任と両親、上手にあきらと小菅。

 下手の3人は三角形になっている。その頂点は事なかれ主義から豹変した担任で、客席沿いの中央寄りには口やかましい父親、舞台端に近い方には仕方なくついてきたっぽい母親。

 上手の2人は、観に近い方と客席に近い方になるよう、斜めに立っている。

あきらは観の目の前に立ち、小菅はそれを見守る形になっている。

 そこまで見せたセンパイは、声を低めて答えを求めてくる。


「クライマックスは?」


 そう言うなり、見取り図の上に、もう一枚ルーズリーフが重ねられる。

 僕は濁流そのもののような勢いで、一気に語りつくした。


「崖崩れで、廃屋が増水した川に流されます。観は廃屋と共に流される悠里を追います」


《悠里!》


 観は声を限りに呼ぶが、その声は荒れ狂う川の轟音にかき消されてしまう。


《来ないで!》


 そう言い残した悠里は濁流に呑まれるのだが、センパイはそういういいトコで話を遮った。

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