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シロウトのこだわり

 徹夜の疲れがどっと出た。もう何をする気力もなかった。でも、自業自得とはいえ一晩がかりの仕事だ。

 ナナメ読みしただけで書き直しなんて、納得がいかなかった。いくらなんでもそりゃひどいだろと思ったのだ。

 この「思った」で終わるのが僕の性分だ。不満を感じても、上から言われることには唯々諾々と従う。

 これもオヤジの処世術の一つで、現にオフクロに逆らうことは絶対にない。僕も、幼い頃からこれを見習っている。

 家でも学校でも守ってきた「長いものには巻かれろ」。

 だが、徹夜して台本を書いてきた僕の気持ちは、いつもとは違っていた。


「せっかく書いてきたのに」


 不満がつい、口をついて出た。

 しかし先輩絶対は部活動の習い。僕の行動は愚かだった。

 かすみセンパイの怒りに火がついたのである。


「台本ナメてんの? あんた」


 その台本はというと、僕の眼前に丸めて突きつけられている。時代劇で無謀な果し合いに敗れて刀を突きつけられる浪人者になった気分だった。


「……ちゃんと考えて書きましたよ」


 それでも僕はおずおずと反論した。まずいと思ったが、まるで公衆の面前で自分の子どもを叱られた親のように、自分の台本にこだわっていたのだ。

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