表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染の村娘(魔王)  作者: 黄田 望
5/10

2話ー② 朝の日常


 「なるほど。 理由は分かった。」


 アーサーはベッドの上で自身の髪の毛が真っ黒に焦げてアフロになった経緯を、同じく黒焦げアフロとなっているパーティー仲間の青年と幼馴染のカレンに一通りの話を聞き終えた。


 「「すいませんでした。」」

 「いや、元々はカレンに起こしてもらっておきながら目覚める事がなかった俺が悪いんだし気にしてないんだけど。 一応注意はしておこうか。」


 アーサーは首を左右に振りアフロになった髪の毛をいつもと同じ短髪ヘアーに戻す。


 (( どうやってるんだろ。 ))

 「さてと、まずはトーマス。 お前はもう少し落ち着いて部屋に入れないのかっていつも言ってるだろ。 元気がいいのは良い事だがあまり騒いだら他の部屋の人達がびっくりするだろ。」

 「あははは・・わりぃ。」


 トーマスと呼ばれるアーサーのパーティー仲間は黒焦げとなった部屋を見渡しながら謝る。


 「そしてカレン。 前にも言ったけど無暗やたらに黒魔術を発動させちゃダメだって言ってるだろ? 今回はたまたま君の正体を知ってるトーマスだからよかったけどこれが別の俺の仲間だったら君が普通の村娘じゃなくて魔王である事がばれてしまう。」

 「あぅ・・ごめんなさい。」


 アーサーに注意されたことがかなり堪えたのかカレンは身体を縮めて頭を下に向ける。


 「でも、さっきも言った通り起こしてもらっておいて起きなかった俺がそもそもの原因だしな。 作ってきてくれた朝食も、今は黒焦げになってるけどまた明日も作ってきてくれないか? 今度はちゃんと起きて頂くからさ。」


 頭を下に向けていた状態のカレンの頭をアーサーは優しく撫でる。


 「!! うん! もちろん!!」

 

 頭を撫でてもらって嬉しさと朝食を楽しみにしてくれているという喜びの気持ちでカレンは今日一番になるであろう華やかな笑顔を振るまった。

 その横には2人の空間から近くにいるはずなのに蚊帳の外にされているトーマスが羨ましそうな瞳でアーサーを睨みつけていた。


 そんな状況の中、ドアからコンコンッとノックの音が聞こえる。


 「あらあら。 今回もかなり元気な起こし方をしたのね~カレンちゃん。」

 「!! 奥様!!」


 アーサーの部屋に訪れたのはこの宿の主である女性でありカレンが世話になっている食堂店オーナーの奥さんだ。


 「カレンちゃんがもし良ければ今日も朝食の準備を手伝ってもらえないかしら? 最近どうも腰辺りの痛みが酷くて高い所に置いてある調理器具を手にするのも一苦労で。」

 「も、もちろんです! でもその前に部屋の掃除をしないと・・・」

 「あぁ~大丈夫よ! 掃除ならアーサー君とトーマス君がしてくれるから!」

 「「 へ? 」」


 すると奥さんは床に座り込んでいるカレンを部屋から引っ張り出していった。


 「あっ、そうそう。 アーサー君とトーマス君は部屋を綺麗に掃除するまではご飯はお預けだから早く終わらせておりてらっしゃいね~!」


 戸惑いながらも奥さんに連れていかれるカレンの声が聞こえなくなるまで、アーサーとトーマスはしばらく真っ黒に焦げた悲惨な状態にある部屋を眺めて絶望していたとかなんとか・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ