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キャラクタークリエイト

キャラクリって大事ですよね。私はかなり迷うたちなので、時間もそれなりにかかるんじゃないかなあと思います。皆さまはどうですか?

体からスゥーっと力が抜けていき、少しの浮遊感と共に眩しい光が目に入ってきた。思わず目を閉じて数秒、ゆっくりと目を開けると一面真っ白な空間に俺は立っていた。


「ここは、、、」


「ようこそ。The Wonderful Worldへ。あなたの来訪を心より歓迎いたします。ワタクシ、この場にて皆様のキャラクタークリエイト、並びにチュートリアルのお手伝いを仰せつかっておりますAIの【補助型3号】でございます。短い間ではございますが、以後、お見知りおきを。」


鈴のなるような声で発せられた言葉に振り返ると、そこには綺麗なお辞儀をした道化師?のような格好をした1人の少女がいた。


「ええっと、」


少し戸惑ってしまい、変な声を出してしまった俺に対して、


「ああ、申し訳ございません。急に声をかけて驚かせてしまいましたね。」


と、慌てた様子で頭を下げる補助型3号と名乗った少女。


「こちらこそ、すいません。ええと、君はここで俺の手伝いをしてくれるってことでいいのかな?」


「はい。そうです。まず皆様がこの場でおこなっていただくのは、キャラクタークリエイトになります。容姿や種族、スキルを決めていただき、その後、各自に適当なチュートリアルを受けていただきます。それらが終了した後、皆様をThe Wonderful Worldに安全にお送りすることがワタクシの仕事になります。」


「そうなんだ。丁寧に説明してくれて、ありがとう。じゃあ早速だけど、キャラクリをお願い。」


「かしこまりました。ではまず初めにスキャンデータを元に、あなたのアバターを呼び出します。」


すると、目の前に初期装備なのか茶色い麻のシャツに黒いボトムス姿の俺が現れた。アバターの周りを周っていろんな角度から見たが、実物と変わらないその姿にちょっと恥ずかしいやら、気持ち悪いやら。


「ご確認がお済みになりましたら、次はこちらのディスプレイにて、容姿の変更をおこなってください。変更箇所は様々ございますので、ごゆっくりお考えくださいませ。」


うーんと、髪の長さや色に瞳の色、体格や筋肉量まで、本当にたくさんある。てか、筋肉量って何?そんなとこまでいじったら現実との差異?が起こるんじゃないの?と、疑問に思ったので聞いてみると、


「ご心配にはおよびません。現実との差異は、ログアウト処理中に正常な状態まで認識できるよう調整いたしております。選ばれる種族によっては、現実の体より大きかったり小さかったり、太かったり細かったりと様々ですので。」


ということらしい。まあそうか。このゲーム、選べる種族に魔物種もあるしな。と、納得したので容姿変更の続きをしていく。


「髪は少しくすんだ銀色にして、、、長さは後ろを肩くらいまで伸ばしてみるか。毛先に行くに従ってちょっとずつ暗くしてみよっと。瞳は碧色とかかっこいいな。顔のパーツや体格は、、、面倒だからこのままで。特に不満もないし。」


15分くらいアバターとにらめっこしながら決めたところで補助型3号さんにできたことを伝える。てか、補助型3号さんって言いづらいな。あだ名とか付けてもいいのかな?


「あのー、補助型3号さんって少し呼びづらいから、あだ名とか付けてもいいかな?」


見た目道化師の少女で、しかし喋り方がメイドさんというアンバランスなAIを、傷つけないように気をつけながら聞いてみる。


「、、、え!?ワタクシ、に、あだ名、をですか?」


しまった!やっちゃったか!?


「いや、あの、嫌なら別にい」


「是非!是非!付けてくださいませ!」


食い気味で肯定された。なんか、グイッと近づいてきて、フンスフンスしながら首を縦に振ってる。なにこれ?すごいかわいい!持って帰れないかなー?反抗期前の妹ってこんなんなのかなー?いいなー。なんてことを考えてたら、補助型3号さんは自分の粗相に気づいたのか、慌てて


「も、申し訳ございません。あまりの嬉しさについ興奮してしまって。」


と耳まで真っ赤にして謝っている。かわいい。


「いや、いいんだけど、あだ名くらいでどうしてそんなに喜んでくれたの?」


「実は、他にも補助型AIはいるのですが、その子たちは来訪者の数名の方々に呼び名をつけてもらったことがあるそうなのです。ですが、ワタクシはこのような格好に、堅苦しい話し方ですので、呼び名をつけていただいたことがないのです。AI同士の通信でそのようなことを聞くたびに羨ましく思っていたもので、つい。」


「そうなんだ。それはさみしかったね。じゃあ初めての名前だし、かわいいのにしないとね。」


と、3号ちゃんの頭をよしよししながら考える。最初ってことでファースト、3号ってことでサード、かわいいからキュート、ピエロ、メイド、、、うんうんと唸りながら自分のネーミングセンスのなさと必死に戦う。うーん。。。


「アーク。アークってどうかな?」


「アーク、ですか?良い響きですね。とても良いです。嬉しい、、、ありがとうございます!」


なんとか気に入ってくれたようで、一安心だ。


「ところで、アークとはどういう意味なのでしょうか?」


「アークは、方舟や聖櫃って意味があるんだけど、今回は方舟って意味だね。旧約聖書って書物の中にノアの方舟っていうのが出てくるんだよ。なんでも、遠い遠い昔に堕落してしまった人間を滅ぼす為に神様が大洪水を起こそうとしたんだって。でも、せっかく生み出した人間やいろんな動物を全部滅ぼすのは違うと思ったのか、ノアっていう1人の男に『大きな方舟を造りなさい。それに自分の家族と色々な動物の雌雄を乗せて、大洪水を乗り越えなさい。』ってお告げをしたんだって。でね、君の仕事って俺たちを新しい世界に連れて行ってくれることでしょ?ちょっと違うけど、俺には似たようなものかなって。だから、アーク。」


「そんな素晴らしい意味があるのですね!すごいです!アークという名前、大事にしますね!」


「うん。喜んでもらえてよかったよ。そういえば、俺の名前言ってなかったね。俺は、音操 奏。キャラネームはまだ決めてないけど。」


「奏様ですね。そうですね。ワタクシのことで時間を使わせてしまいましたが、容姿の変更はお済みでしたものね。では、キャラクターネームを決めましょう。重複した名前はお使いになれないのでご注意下さい。」


さて、最初は苗字の音操をいじってネクにしようかなとか考えてたんだけど、せっかくアークと知り合ったんだしこの流れで決めちゃおう。容姿を決めたディスプレイの名前入力欄をタップして【ノア】と入力する。幸いにして重複はしていなかったようだ。


「決めたよ。ノアにしたから、これからはノアって呼んで。」


「ノア様、ですね。先ほどのお話に出てきたお名前ですね。」


「うん。せっかくアークとこうしていろんなこと喋ってるし、ちょっとでも繋がりのある名前にしようかなって。」


「あぅ。」


なんか、変な声が聞こえた。アークは俯いてモジモジしている。


「ん?どうしたの?」


「いや、あの、優しい言葉をかけていただいたことも初めてなもので、、、どのような反応をすれば良いのか。」


ということらしい。今までアークが担当してきたプライヤーってどんなやつらだったんだろ?格好とか喋り方とか気にしなければ、普通にかわいい女の子なのに。まあ、俺には関係ないけど。そもそも、このゲームでは基本的に他のプレイヤーとは距離を置こうと思ってたし。ソロプレイってやつだな。


「そっか。素直になればいいんだよ。嬉しかったら嬉しい。楽しかったら楽しい。嫌なら嫌。ってかんじで。」


「素直、ですか。はい、わかりました!嬉しいです!とても。ノア様と出会えて。ありがとうございます。」


「うん。俺もアークと会えて嬉しいよ。」


2人揃って気恥ずかしいことを言っているが、気にしない。初めの無表情なアークより、やっぱり笑ってるアークの方がかわいいし。アークはちょっと照れてるけど。


「そ、それでは、続けて種族の選択に移りましょう。種族にはそれぞれに特徴があります。メリットデメリットも存在するので、よく考えてください。まず、


人間

可もなく不可もなく。特徴がないことが特徴。1つのことに特化させることも可能だが、それなら最初から特化した種族を選んだ方がいい。迷ったらコレ。



亜人

・エルフ

魔法系に特化している。魔力や知力の伸びがいいが、その反面打たれ弱い。とがった耳が特徴で、美形補正はない。なぜか住人のエルフには美形が多いらしい。


・ドワーフ

防御系に特化している。体力や耐久の伸びがいいが、その反面動きが遅い。ガッチリした体型が特徴。特に髭面とかではない。


・ホビット

生産系に特化している。俊敏や器用の伸びがいいが、その反面魔法に弱い。低身長な姿が特徴。鍛治といえばドワーフのイメージだが、住人の鍛冶屋はほぼホビット。



獣人

様々な動物の身体的特徴を持つ。動物の種類によってタイプが違う。犬なら攻撃、猫なら俊敏、狐なら知力、熊なら耐久など。



魔物種

変わり種。普通のゲームに飽きた人用とも言える。ゴブリンやオーク、ゾンビにスケルトンなどの人型からスライムやマンイーター、バットなどの非人型まで様々。基本的に他の種族からの討伐対象となっているが、意思疎通を図ることができればどうにかなるかも。他の種族と違い、職業がない代わりに進化がある。



ランダム

種族全体からのランダムと、種族固定からのランダムを選べる。1回しかできないので、気に入らなければキャラデリでどうぞ。(注 キャラクターデリートは3回までになっている)普通の種族選択にはないレア種が出ることもあるが、確率は低い。



と、このようになっています。質問も受け付けますので、じっくり考えましょう。ノア様!」


喋り方が若干柔らかくなったアークと一緒に種族を考える。うーん。せっかくのファンタジー世界だし人間はないかな。エルフやドワーフもなんとなくイメージと違うし。思い切って魔物種とかありかも。


「ねえアーク。ちょっと質問なんだけど、魔物種ってどれくらいの人がなってるの?」


「魔物種ですか?ちょっと待ってくださいね。今調べてみます。」


と言うと、アークは右手の人差し指と中指を揃えて空中を上から下になぞるように動かした。そして、指先を動かしながら視線をあちこちにただよわせている。


「わかりました。現在The Wonderful Worldには3万5千人ほどのプレイヤーがいますが、そのうち魔物種を選んでプレイしている方は1割にも満たないですね。正確には、1208人です。少ないですね。」


「確かに少ないね。進化とかあるし、楽しそうなのに。どうしてだろう?」


「やはり、多種族からの討伐対象というのがネックのようです。基本的に住人には受け入れられることがないですし、そもそもMMOですのでパーティプレイに影響が出ますので。今魔物種でプレイされている方々もほぼソロが多いですね。一部魔物種同士で組んでいる方もいるようですが。」


「それもそうか。えっ!?それじゃあ始まりの街的な場所はどうなってるの?」


「初期リスポーン地点ですね。人間や亜人、獣人は基本的に始まりの街に降り立ちます。魔物種はそれぞれにあった場所を補助AIが決定して送ります。」


「基本的にってことは、亜人なんかも違う場所があるの?」


「亜人なども例えば、エルフの里やドワーフの里といった場所を選ぶことはできますが、難易度に差があるため選ぶ方は少ないですね。あとは、現実でのお友だちと合流するのに時間もかかりますので、それも要因の1つかと。」


「そっかあ。最初っから難しいのは、ちょっと嫌かもね。友だちとの合流とかは考えなくていいけど。」


言ってて少し悲しくなった。ラノベの主人公だと友だちから誘われてるのに。主人公ってキャラじゃないけど。


「そ、それで、ノア様はどの種族にしますか?」


慌てて声をかけてくれるアーク。かわいい。気を遣わせちゃってごめんね。


「ありがとう。アーク。うーん、どうしようかなあ。やっぱり普段できないことをしたいってことで、魔物種にするよ。魔物種のランダムでお願い。」


「魔物種ランダムですか?やり直しはできませんが、大丈夫ですか?はい、わかりました。では、ランダムスロットにて決定してください。」


アークがそう言うと、上からドォーンとスロットの機械が落ちてきた。び、びっくりした。急にそんなことされたら心臓飛び出ちゃうよ。ジトーっとアークに視線を向けるとアークがテヘペロしてる。うん、かわいいから許す。てかもう、アークのキャラがわからない。どれか素なんだろう?

スロットマシンには、大きなディスプレイとスタート、ストップというボタンしか付いていない。これを押せばいいのかな。じゃあ元気よくいきましょう。


「スタァートォッッ!」「ストッップゥッ!」


ドゥルルルルルルっとドラムロールを鳴らしながら、ディスプレイの中で文字が踊っている。そして、、、ジャン!という音とともに表示された文字は


「パペット?人形のやつかな?これってどうなんだろう?アーク?」


アークの方を見ながら聞いてみる。


「、、、お、おめでとうございます!パペット種ですね!レア種とまではいきませんが、それなりに珍しい種族になります。少しトリッキーなスタイルになりますが、それはチュートリアルの時に説明しますね。」


微レアってことでいいのかな?ソロだし、トリッキーでもゆっくり慣れていけばいいかな。


「では、アバターに種族を反映させますね。それっ!」


アークの掛け声とともに、アバターが光に包まれながらその形を変えていく。あれ、ちっちゃくなっていくぞ?え?どういうこと?なにあれ?光が収まった後に出てきた俺のアバターは、俺とは似ても似つかないものになっていた。まず身長、だいたい80cmほどの小人で髪がない。瞳はかろうじて碧色だか、宝石みたいなものがはめ込まれている。初期装備の服装はなくなっている。そして一番大切なことだが、体が木でできている。


「えっと、アーク、これなに?」


「パペット種のミニパペットです。パペット種は基本的に木でできた体を持ち、体内に魔核を有しています。魔核の場所は各個体により様々です。俊敏と器用の伸びがよく、その他も平均的に成長します。そして、進化の仕方によって人に近い容姿になったり、動物に近い容姿になったりと色々です。人に近づくように進化することによって、ノア様がクリエイトしたアバターになることも可能です。」


お、おぅ。orz


「嫌、ですか?」


アークが、悲しそうに上目遣いで聞いてくる。そんなかんじで聞かれたら嫌なんて言えないよ。進化すれば良いってことみたいだし、気にしない!木だけに。。。ごめんなさい。


「嫌じゃないよ、アーク。ちょっとびっくりしただけ。」


「そうですか。よかったです。では、このままスキルも選んでしまいましょう。こちらのディスプレイから初期スキルとして10個まで選んでください。スキルには武器系、魔法系、汎用系、耐性系、生産系、その他の6系統と世界に1つしか存在しないとされているユニークがあります。テンプレートとしましては、武器系1、魔法系2、汎用系3、耐性系2、生産系1、その他1という具合ですね。」


「えーっと、スキルの種類もいっぱいあるなぁ。どうしよう。うーん、そうだアーク。先にステータスを見ることってできる?ステータスで何が向いてるかちょっとでもわかればいいんだけど。」


「そうですね。では先にノア様のアバターに奏様の意識をインストールしてしまいましょう。そうすれば、ステータスを確認することもできるので。」


そう言うと、アークはまた右手の人差し指と中指を揃えて空中を上から下に動かした。ピコピコしているアークを眺めていると、フッと一瞬の浮遊感ののち急に視界が変わった。あれ?アークの方が背が高いぞ。


「意識のインストールが完了しました。これでノア様は名実ともにミニパペットになりました。体は動かせそうですか?動くようなら、さきほどワタクシがしたように指を揃えて上から下に動かしてみてください。」


んっ、ちょっと今までと勝手は違うが人型ってこともあってか少し練習すればスムーズに動かせそうだ。じゃあアークに言われた通り指をスッと動かすと、フォンっと小さな音を立てながら半透明なボードが出てきた。


「ステータスボードが出てきましたね。そこにはノア様のステータスや持ち物、装備に設定などThe Wonderful Worldの世界で必要な事柄が載っています。後で説明しますが、ログアウトもそこからおこないます。もちろん、他人から勝手に見られることはありませんので、安心してください。では、ステータスボードの上の方にあるステータスタブを押してみてください。」


名前:ノア

種族:パペット

職業:ミニパペットLv1

称号:


体力F

魔力E

攻撃F

耐久F

知力E

俊敏E

器用E


スキル:

SP:0

書いてるうちに、どんどん長くなってしまいました。次話に持ち越します。

前書き、後書きって何を書けばいいんでしょう?

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