ゲームを始めるその前に
皆さまはじめまして。楽しんで読んでくださればなあと思っています。
日本にVRの技術が現れてから、結構な時間が過ぎた。初めは医療目的で技術開発が行われていたが、やはりというべきか、仮想空間の魅力にゲーム業界は黙っていなかった。数ある企業が我先にと研究を進め、数多のVRゲームを作った。格闘ゲーム、シューティングゲーム、育成ゲーム、、、、その中でもVRMMO はたくさんの駄作と少しの良作を生み出した。
今、俺【音操 奏】(おとくり かなで)の目の前にも1つのVRMMO ソフトがある。
【The Wonderful World】(通称WW)
発売からもうすぐ1ヶ月が経とうとする中でも、未だに入手が困難なこのゲーム。なんでも、今までのVRMMO と違って、かなりの自由度と多種多様なスキル、リアルを追求した世界が売りなんだとか。なぜ俺なんかが手にできたのか、それは、、、。
特に深い理由も何もない!ただちょっと運が良かっただけだ。
俺の働いている会社は少しおかしくて、学校みたいにいろんな行事を社員が提案して、実践しているんだ。なんでも、「仕事って、楽しんだもん勝ちでしょ?」という、社長の意味わからん一言らしい。まぁそれで、音楽祭や運動会、文化祭なんかがあるんだが、今年の8月最終週の土曜日にやった運動会の打ち上げに、ビンゴゲームの景品としてWWのソフトがあったんだ。普段の俺なら絶対揃わないビンゴだが、今回はマジで神様に感謝したよ。
と、そんなわけでWWを手に入れた俺なんだか、そもそもVR機器を持ってなかったので、相当な出費を迫られた。(迫られたってか、自分で買うの決めたんだけど)やっぱり良い環境でゲームしたいしね!実際、電気屋さんで体験させてもらったゲームも凄かったし。あれを超えるリアルさらしいので(店員さんいわく)楽しみだ。
「じゃあ、寝るまでの間に、ちょちょっと接続やら設定やらを済ましとくか。」
新しく買い替えたパソコンとVR機器をケーブルでつないで、各種設定。電子機器には全く詳しくないので、電気屋さんに教えてもらった通りに。
「まずは、アカウントの作成っと。それから、フィルタリングもするのか。」
未成年でもプレイできるように、今時のゲームはグロ設定やハラスメント設定、アラーム機能など、本当にたくさんの「過保護かっ!」てくらいのフィルターがある。まぁ、俺にはあんまり関係ないんだけど。
そういえば、ここで軽く自己紹介をば。
名前はご存知の通り音操 奏。年齢30のちょっとだけおじさん。会社は不動産関係の営業。彼女はいない。今は、いない。今は!都内で一人暮らしの平凡なヤツ。複雑な家庭環境で育ったわけでもなく、極度のコミュ障なわけでもない、本当にどこにでもいる普通のヤツ。ま、あんまり人付き合いが得意じゃないけど、それでも、そこまでじゃない。身長175cm体重70kgの中肉中背。顔は良くも悪くも目立たない、ちょっと童顔。前髪は目にかかるくらいの長さで、後ろはちょい短めの、暗い茶色。趣味は読書とラーメン屋巡りで、軽く根暗。たまーにゴルフの打ちっ放しに行くかな。友達もいるけど、みんな結婚して家庭ができてからは、あんまり集まる機会も減ってきてる。少し寂しいけど、年に1、2回会うくらいがちょうどいいのかもとか思ってる。
とか、変なことを言ってる間に設定終了。次はソフトのインストール。
「えっ!?1時間もかかんの!じゃあ待ってる間にゴーグルに身体データの入力と素体のスキャンしとくか。」
そう!買ってきたVR機器はゴーグル型なのだ!視覚、嗅覚、味覚、触覚はゴーグルのレンズに映し出されるものと脳波をリンクさせて、聴覚は骨伝導を利用しているらしい。詳しいことは、わからん!「なんかすごい機械だなぁ!」でOK。そもそも、動いてないのに動いてるとか、食べてないのに匂って味がするとか、もう意味わからんもんね。できるらしいから、それでいいんですよ。バカは考えない!これが真理。
「余った時間は、公式HPと掲示板を軽く見てから、寝るか。」
明日から土日休みなので、このあとゲームを始めてもいいのだが、いかんせん時間が遅い。
「今日は早く寝て、明日から楽しんだ方が賢そうだ。」
結局、寝たのは夜中の2時過ぎ。公式や掲示板を見ながら、種族や職業、スキルなどを考えるのが楽し過ぎた。ベッドに入ってからも、どんなプレイングをしようか考えてしまっていたため、そんな時間に。
翌朝。
「!?寝過ごしたー!」
普段から朝は意外に早起きで、基本的には6時に起きるのだが、今の時間は10時。
「久々にテンション上がってたんだな。遠足前かよ!ってくらいワクワクしてたもんなぁ。とりあえず、風呂入ってくるか。」
風呂上がりに、朝昼兼用でそっと作ったオムライスを食べる。1人が長いと料理もそこそこできるようにはなる。おいしいかは、別。
「水分補給もした。トイレも行った。戸締りもした。アラームもとりあえずで5時間後に設定した。よしっ。じゃあいきますか。」
ゴーグルをつけて、ベットに横になり、音声入力。ちょっと恥ずかしいけど、
『Dive to The Wonderful World 』
小説って難しいんですね。