姫と騎士
「へー、それでこの学校に入学したんだ!でも知っている人がいて良かったよ。」どうやら、話を聞いたところ、緋音ちゃんは私と別れてからの数年の間を武者修行に使ったようで、その結果、一人の時間が多くなってしまいコミュニケーションの仕方が分からなくなったため、その価値観の差(個人的には木刀も原因だと思うけど…)を厨二病と捉えられて入学をしなくててはならなくなったらしい。
「同じクラスということは姫ちゃんも厨二病のレベルは低いんだね!」
「レベル?どういうこと?緋音ちゃん。」
「姫ちゃん、知らないで入ったの⁈」
「うん、実はね…」私がこの学校に入学した経緯を話すと緋音ちゃんは
「そうだったのか。でも、そういうことなら姫ちゃんは厨二病の設定を作らないといけないね。あの人達はそれぞれの世界観を想像しているみたいだから。」どうやらこの学校は厨二病の症状によってクラスを分けているようで、私と緋音ちゃんは比較的症状が弱いクラスに入ったらしい。
「そっかー、どうしようかなぁ…」
「なら、お姫様なんてどうかな!その名目に姫ちゃんを守ってあげられるし。実は僕、騎士の設定で厨二病を装っているから。」
「確かに騎士っぽい(木刀だけど)!でも良いの?緋音ちゃんの迷惑にはならない?」
「僕は平気さ。なにせ姫ちゃんのためにこれまで鍛えていたのだから。」なにこれ嬉しい。なんだろう、登校初日でもう泣きそうだった。
「お願い…しても良い?」すると緋音ちゃんはポカンとして、ふと我に帰った。
「(か、可愛い)」なにか言った気がしたけれど、返事が聞き取れなかったのでもう一度尋ねる。
「ダメかなぁ?」もう一度尋ねると、緋音ちゃんはなぜか頰を染めながら
「い、いや、全然良いよ。任せて!」良かった。正直、今日一日を過ごしてこの学校の大変差は予想以上でとても不安だったので安堵する。
「緋音ちゃん、ありがとう。これからもよろしくね。」
「はい。この剣に誓って!姫ちゃ…、姫。」こうして学校初日は終わり、決められた寮に戻る事になった。そういえば、私の学校は寮生が多く同居をするんだった。優しい人と同じ部屋だと良いが…。
ついた。旧館なのかその…なんというか…ボロい。ギシギシとなる階段を上がって手前の部屋。
「あった。二〇一号室。」
ガチャ。ドアを開ける。すると、なんということでしょう。
「あ、緋音ちゃん?」なんと緋音ちゃんが寮の同居者だった。はぅぅ、は!つい安心してしまった。
こうして今日という日が終わりを迎えた。