剣ヶ丘 緋音
たしか小学一年生の頃だった。あれは学校の帰りだった。当時から髪も肩に掛からない程度で、一人称も僕だった緋音ちゃんだったが、性格は内気だったのでよく男の子にちょっかいを出されていた。確かその日も緋音ちゃんは苛めにあっていて、私はそれを許せず、苛めっ子に石を投げて追い払った(…あの頃はまだ若かった)。そして男の子達がいなくなると、私は泣いている緋音ちゃんに向かって
「そんなんだから苛められるの!ちゃんとやり返してやらないから相手も調子に乗っちゃうんでしょ!」と容赦なく言い放った。しかし、次の日には男の子達から仕返しをされてしまい。武器がない私は非力なため、正直に言って絶対絶命の窮地。そんな時、どこからか緋音ちゃんが来て、男の子達を追い払ってしまった。そして言い放ちました。
「月ノ瀬さん苛める子は僕が許さないぞ!」と。聞けば緋音ちゃんは当時から剣道を嗜んでいたらしいが、喧嘩でそれを使いたくはなかったらしく、苛めにも特に抵抗しなかったらしい。
その後、私と緋音ちゃんは親しくなった。
しかし、それから一年後。緋音ちゃんは両親の仕事の都合で転校。別れる際に緋音ちゃんは
「きっと姫ちゃんを守ってあげられるようになって、また帰ってくるから。」と言い残していなくなってしまった。しかし、以降、私と緋音ちゃんが会う事は無かった。