違和感 妹side
兄より少し優れた妹視点。
あの後、兄様に諌められどうにか私は矛を収めた。それぞれ席に着き、朝食を食べる。朝ご飯とお昼のお弁当は義父様の係だ。
「おいしいかい?」
「……独身が長いと、自然と料理も上手くなる」
「それ、私がモテないって遠まわしに言ってる!?」
「フフッ」
「鈴まで酷いっ!!」
正直、義父様の料理は一般家庭のレベルを遥かに超えているし、大好きなのだが、蘭にとっては兄様が何をとっても一番なので、軽口を言って誤魔化しているのだ。蘭からすれば軽口を叩けるということは、十分な愛情表現の一部なのである。それに義父様が気づいているかはさておき、この何気ないものが一番の幸せだと蘭は昔から気づくことが出来ていた。
朝食を食べ終え、それぞれの部屋で着替えを済ませると、義父様の車に乗って学校へ向かう。車の中で兄様はいつも携帯を見ているので、私はボーっとしながら外を眺めていた。
外は田舎と都会が微妙に混ざり合ったような、住宅地。談笑しながら学校に向かう中学生。何もかもがいつもと同じなのに何か違和感がする。
その違和感の正体を探ろうと、あたりを見回しているうちに学校に着いてしまった。
「鈴、蘭。気をつけてね。」
車から降りる直前、義父様が前を向いたまま唐突にそう言った。照れくさいのか、声はとても小さかったけれど。
「はい、義父様。」
「何を突然、何か変なもの食べました?」
「ちょっ!蘭、酷いっ」
私は、義父様のことを無視して、兄様の手を引いて学校へ歩いた。後ろから、義父様の「育て方間違えたかな」とか聞こえた気がしたが、多分気のせいだ。気のせいと言えば、気のせいなのだ!!
そのまま、私は兄様と学校へと向かった。違和感は全て勘違いと割り切って。
気づいているけれど、それを受け止められない、兄より心の弱い妹視点。
見切り発車なので、矛盾が生まれているかも。誤字脱字含め指摘お願いします。