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空色の奇兵 Militia in Blue  作者: 齊藤 鏤骨
第1章 花水木(ハナミズキ)
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 翌日の昼休み、踏青亭のオープンテラスに樹、汐音、乃維絵の3人の姿があった。


 樹はいつものオムライス。

 汐音はまたまたミックスサンド。

 乃維絵は日替わりのエビフライ定食。

 女の子なのに結構がっつりしているのが好きなんだな。

 なんて感心している場合ではなかった。


 「あのさ、そもそもなんで君たちがここにいるの?」

 と、樹。ぷるぷるした黄色のオムライスにケーキ入刀セレモニーのように慎重にスプーンをいれている。


 「なぜって、作戦会議ですよ」

 ちびちびとサンドイッチをかじりながら、汐音が答えた。


 「そうです。ここをわたしたちの秘密基地にしましょう」

 乃維絵は優雅な手つきで一口大に切り取ったエビフライにたっぷりとタルタルソースをのせた。


 「秘密基地って、ただの学食のカフェテリアだぞ。全然秘密なんかじゃないし。だから、そもそもなんで俺たちが作戦会議なんてしなきゃならない訳?」


 「もちろん、昨日の星川さんのお話が衝撃的だったからです。話を聞く限り、発電プラントの爆発とは考えにくいですよね。空に吸い込まれた三万人の人たち。本当だとしたらどこへ消えてしまったんでしょう」


 「大人が嘘をつくのなら、僕たちが真相を突き止めなきゃなりません。ねっ、ホッシー」


 「お前なれなれしいんだよ。だいたいホッシーなんて呼ぶな」


 「あら、いいとおもいますけど。ホッシー先輩」


 いま、語尾にハートがついていたよね、なんて都合良く解釈しながら、樹はNタブレットを取り出した。乃衣絵はピースサインをしてくれた。


 「ずるいですよ、乃衣絵さんだけ。今日は結団式ですから、みんなで撮りましょうよ」


 カシャリ。

 結局、Nタブレットの画面にはフロントカメラがとらえた3人の顔が並んだ。

 風がそよぐ度にゆれる緑陰がモネの描く点描画のような効果を与えた。

 きらきらした木漏れ日のなかの世界はあまりに日常的過ぎて、その時彼らが後戻りできない道を歩き始めたことに誰も気づかなかった。

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