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空色の奇兵 Militia in Blue  作者: 齊藤 鏤骨
Ⅳ 昇藤(ルピナス)
27/33

 正体不明機は時空の壁を越えて、グラウンド零のはるか上空から現れる。

 樹は、着陸地点をオートパイロットで指定された位置よりも南東の海岸寄りの地点に設定しなおした。


 シミュレーション訓練の合間に、樹はこれまでの攻撃対象をデータ化し、その目的毎に分析し、時系列によって点と線で結び、彼らの次の標的は常陸市にある10基のパラボラアンテナを備えた大規模衛星通信施設、けんぽく宇宙センターと予測していた。


 果たして、どちらが速いだろうか。

 目の前に現れた仮想のコンソールで計算する。僅差だった。樹の方が900秒ほど速い。


 宇宙センターの巨大アンテナ群が一望できる小高い丘を着地点と定め、オービターフォームから人型のバトルフォームに変形する。

 身体中の組織が再構成される、くすぐったいような不思議な感覚。目にする風景からして違うのだ。まるで、ゴジラやウルトラマンになった気分。


 俊敏性を犠牲にしても、赤外線やレーザーの探知を遮断するステルスモードを選び、片膝をついて身をかがめた。


 やがて、萌黄のレーダーアイが前方上空に2機の不詳機を捕捉した。彼らはパラボラアンテナを破壊するはずだ。


 やがて2機のオービターが目視できた。

 流線型の優美な玄天、鋭角的な翼を持つ蒼天のオービター体が広大な衛星通信施設の上空をゆっくりと旋回する。

 地上に降りてくる気配はなかった。


 (おかしい)


 樹は彼らの目的をもう一度考えてみた。

 データセンターや基地局の破壊、そしてハッキング。


 ハッキング……。

 鏑木の話では、敵はあちらの世界からハッキングによってこちらの世界の物資を盗み取っているらしい。

 日常的にパラレルワールドからのハッキングと物資の詐取が可能ということは、どこかにこちらの世界と同期するポイントがあるはずだった。わざわざ装機をもちいることは、今この場所、この時間でしかできないこと。そして、この場所は衛星通信施設。

 彼らは旋回しながら、ネットワークの脆弱なポイントを探査しているのだ。


 衛星のハッキング!

 樹は仮想のコンソールを目の前に広げて、上空の衛星の状況を調べた。

 この20分の間に受信可能な衛星は商業衛星9基、GPS衛星7基、軍事衛星4基、気象衛星2基、そして有人宇宙ステーション。


 一番あり得るのは、プロテクトの甘い商業用通信衛星に侵入してウィルスやワームを無差別にばらまくこと。

 だが、嫌な予感がした。

 この時間に上空を宇宙ステーションが通過することは偶然とは思えなかった。

 この際何のためにか考えることはやめにした。

 宇宙ステーションには今も数名の滞在者がいるはずだ。

 理由が何にせよ、阻止しなければならないことは確かだった。 


 樹はステルスモードを解除して、出力をマックスにするとバトルフォームのまま翼を広げた。


 攻撃対象は宇宙センターのパラボラアンテナ群。

 樹は、ウエストに付属したシースからソードを引き抜くと、ソードは十分な幅と長さを備えた形状に伸長した。


 全長37mの巨人は強く地面を蹴ると、土煙をあげながら疾走し、やがて宙に浮かんだ。

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