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第87話 メインコンソール

 惑星ハーウィン、都市群エリアチーマヴィル。巨大な塔を中心に海の真ん中につくられた古代文明の都市。

 白一色で統一された町並みは長い時を経ても美しい。所々崩れている場所もあるが、風化によるものではなく、人の手によってもともと壊されていたと思われる。

 惑星リエースの遺跡にもいたような機械仕掛けの人形が整備、そして警備を行っている。

 遺跡に比べてそのつくりはしっかりとしており、中心の塔の内部の装飾も細かくなっている。この場所が古代人たちにとって重要な場所だったと考えられる。

「……ふえぇー」

「あんまり遠く行くなよー」

 街の南にあった船着き場に降下し、そこから大きな門をくぐって大通りらしい広い通りを進んでいた。白い石畳の道の幅は40mほどあり、両隣には街路灯が一定間隔で並んでいる。見た目としてはガス灯というのが一番しっくりとくる。先遣隊の話では、クレアレアを使用してつける灯りだという。

「……すごーい」

 話には聞いていたがこんな場所が実在するとは思ってもいなかった。

 きょろきょろと辺りを見渡しながら、はたから見ればふらふらとしながら歩いてゆく。

「ちょ、ちょっと、アルマっ!」

「んー?」

 うしろ、うしろ、と指をさすアラキアに2、3歩下がりながら振り返る。それと同時に無意識に剣を引き抜くと軽く腕を引く。

 だからこそ。

 ソレ、が何なのか分かった時には攻撃の準備が整っていた。ほぼ反射でクレアレアを込めて青白く光った刃を前に突き出すと地を蹴っていた。

 驚いた、という理由の悲鳴が出たのはその後だった。



「……まったく、少しは警戒しといてよね。って言っても、今は警戒しすぎだってば」

「うぅぅ……」

 あのあとからアラキアの背に隠れていた。こわいものはこわい。

 青い衣服の袖を掴むとぎゅ、っと握りしめる。

「しわになる……」

 まあいいや、と開き直るが、そもそもクレアレアで構成されているため汚れようが破れようが関係ないのだ。

「ほら、アルマ。見てごらんよ」

 その言葉にそろそろと顔を出してみる。

 いつの間にか塔の内部に入っていたようだ。と、いうことは白亜の塔エリアウーゾトゥルムに入ったということか。

 今いる場所はエントランスのような場所で背後には巨大な両開きの扉。そして上を見上げるとずっとらせん階段が続いている。

 エントランスの中心には大きな円が描いてある。

「……?」

 これまで白を基調にあっても薄い黄色だけだったはずなのだが、その円だけは青色で描かれている。

「これね、エレベーターなんだってさ。やっぱり高度な文明だよね」

「エレ……ベーター……?」

 これまでコンソールから得られた情報から古代文明はかなり高度な技術を誇っていたことが分かっていた。そしてそれがクレアレアを使っていたことも。

 しかし、いまいち実感がわかなかったのだ。

 ワープなどは大旅団内でも実装されているが、それ自体は突拍子もなさ過ぎて理解が追い付かない。自分が知っているものと比べられるようなものがなかったのだ。

 しかし、これならば。

「……まだ、動くの?」

「ああ、もちろん。……動かなかったら500m階段をのぼり、だよ」

「むぐ……」

「でも、まあ。今回の任務はメインコンソールを探し出して調査することなんだけどね。上までは行かないよ。目星はつけてあるから」

 円の中に入ったことを確認してアラキアは慣れた手つきで装置を起動させる。

 足元に薄い膜がはられ床から体ごと浮き上がる。半透明なため高度が上がってゆくのがよく分かる。

 エレベーターが止まったのは塔の中層、ほぼ真ん中だった。

 円錐状の塔のため、上に行くほど面積が小さくなっているため、約半分の地点であるここは最下層の約半分、と思っていいだろう。

「この奥に開かない扉を発見してね。あの紋章が浮かんでいたから、アルマなら開けられるんじゃないかなって。中層までだとそこだけ。で、だいたい8割の地点にもう一個。それはそれより上層に入るのを阻止してる扉みたいだけど」

「……『アトミアの紋章』」

 結局マーテルからは未だに何も聞き出せていない。最後にあったのもスペルビアの事件の時だ。通信ごしにさえ話せていない。

 まだその時ではないということなのだろうか。

 何はともあれ、今は目の前の問題を片づけることにする。

 左手に書を持つと右手の平を扉に向ける。右手の甲に呼応するように扉の紋章も光りだすと、次の瞬間、砕け散る。

「……できた」

「よしよし、お疲れさん。じゃあ次だ」

「ん」

 足を踏み入れた部屋はこれまでの施設とは違って分厚く埃が積もっていた。窓もなければ照明具ない。だが、壁や床が発光しているかのように優しい光に包まれ困ることはなかった。

 そして、小部屋の中央には浮遊大陸エリアシエロで見たものと同じような、一見するとただの台座にしか見えないような四角い青い石があった。これが、メインコンソールなのだろう。

「……」

 近づき、積もった埃をはらうと起動させる。

 そのまま認証を終えると宙に無数のホログラムウィンドウが展開し始める。

「ふぇ?」

「うわ、なにこの情報量!? と、記録、記録」

 鞄から記録媒体を取り出すとコンソールのくぼみにセットする。トガやラストから渡された記録媒体をもとにコンソールに対応可能な媒体を開発したのだ。ちょうと片手で持てるくらいの大きさで、立方体。透き通っていてとてもきれいな結晶体だ。

 これ1つで軽く100TBは記録できるというが、実際どれほどの容量なのかは試されていない。もしかしたらゼタでさえありえるのではないか。

「……と、あとはほっておけば勝手に記録されるってさ。……その間に中身のぞいてみる?」

「もちろん」

 基本的に操作はパソコンと同じだ。

 ただ、マウスはなく宙に展開されているホログラムウィンドウを手で操作する。その点ではスマホと似ているかもしれない。

 これだけ多くの情報が集まっているのならきっとアトミアについても何か情報があるだろう。

 教わった手順で検索のためのタブを出現させるとキーボードで打ち込んでゆく。

 新しいタブが目の前に開かれる。

「これって……」

 私のつぶやきにアラキアが横から覗き込む。

「……古代人の、宗教?」



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