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第74話 反逆者の烙印


『帰還してはいけないっ!』

「え?」

 訳が分からなかった。

 私は大旅団員であり、私が帰るべき場所は大旅団である。そこに帰らずどうしろというのか。

「どういうことですか、アストレ先生」

『アラキアくんか! アルマちゃんと一緒にいるんだよね!?』

「ええ、一緒にいます」

『よかった! アルマちゃんを連れて逃げるんだ。こっちは僕が何とかするから!』

「ちょっと待ってください。何があったんですか?」

 アラキアもアストレの言葉に混乱しかけているらしい。右手を右耳の通信装置にあてたまま眉間にしわを寄せる。

『何……? まさか、伝わっていないのか……。いや、まさか、待ち伏せして……。と、とにかく今すぐ自動運転モードから手動運転に切り替えろ! 総務部が……いや、大旅団が、君達を。アルマちゃんとアラキアくんを』

「……?」

『反逆者として拘束しようとしているんだ!』

「は、反逆者!?」

 数秒その言葉の意味が分からなかった。

 しかし。

「……反逆者、って……なんで? そんな、身に覚えが」

『何者かが意図的に君達が《使徒》と接触している動画と画像を証拠として流したんだ! 中には悪質な編集がされていたところもあった。君達が《使徒》と協力している、と』

「協力……」

 それは事実だ。現につい先ほどまでトガと協力関係にあったことは否定できない。

 これは、アラキアの読み通りだったということなのか。

『その部分だけ送るが……』

 端末に送られてきた映像は先ほどのトガと協力して戦った双子との戦闘のものだ。しかし、その相手は双子ではなくイスク。どこか別の場所でラークに襲われた時のものを合成しているとしか思えない。

「……馬鹿な」

「……あんな短時間で、編集を? いや、ボクらが幻影を見せられていた?」

 どちらにせよ、これが大旅団内では事実として広まってしまっている。

 こんな状態で帰還などしたら、真っ先に捕らえられることくらい分かっている。

 そして否定できないとなれば処罰はまぬがれないだろう。

 記憶が正しければ、その処罰は最悪極刑。

「……でも、どうすれば」

「アルマ、せめてあの2人には戻ってもらわないと」

「あ……」

 忘れかけていたが同じワンシップ内にはカイとクレアが乗っている。

 2人とも、先ほどからの会話が聞こえていたのか不安そうな表情でこちらを見ていた。

「……アルマさん、アラキアさん」

「俺たちゃお前さんたちがそんなことしてねぇのは分かってる。安心しろ」

「だが……」

「あー、確かに帰還しちまうと捕まえられて、で、平の俺たちの声なんかきいてくれねぇだろうな」

「だからせめて2人には疑われることなく帰ってもらわないと」

「おいおい、なめてもらっちゃ困るぜ?」

「私達にもお手伝いさせてください。……今度こそ、大切な人を守るんです。弓ででも、知恵でも、なんでもいい。力になりたいんです」

「カイ……クレア……」

 と、いきなり耳元で通信機がけたたましい音を立て始める。

『総務部から全部署、全大旅団員へ通達! 反逆者ののったワンシップの座標を捉えました。戦闘部防衛隊は急行し反逆者を捕らえてください!』

「!」

 大旅団本隊と大分近づき索敵範囲内に入ったということなのか。

 壁際にある操縦桿に飛びつくと自動操縦をオフにする。

「アラキア、索敵頼む! カイとクレアはつかまってて!」

 ここまで来て惑星に引き返すのは無謀であり、そして惑星にいることはトルムアやラーク、さらに《使徒》に襲われる危険性があるため危険だ。

 ならば目指す場所はただ1つ。

 大旅団員でも、そしてクレアレア、イスクでも入られる人が限られる場所。


 大旅団の中枢。

 第0番艦だ。



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