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第52話 視えたもの

 本部と医療部、そして戦闘員の生活の場である区画は第1番艦マザーシップでもひときわ大きな建物内にある。

 入ってすぐの1階部分が総合受付兼待合室。

 そこから吹き抜けになっている6階までが医療部の施設であり、その上は戦闘部員の居住区。さらに20階からは本部となっている。

 その隣に建ち、渡り廊下でつながる建物も同じ管轄の建物だが、そちらは1階から5階までが医療部の管轄で戦闘部以外の入院施設になっている。6階からの作りも若干違い、総合案内がある側の居住区は部屋が2から6人部屋だが、そちらは1人部屋がほとんどで部屋ごとの広さも広くなっている。

 1人部屋でない例外は医療部員達の仮眠室ぐらいだろう。

 そして、戦闘部員以外にも幹部級クラスの居住区にもなっている。同じく20階からは本部施設だ。

 大旅団の人間の間ではいつの間にか前者を本棟、後者を別棟と呼ぶようになっていた。

 当然セキュリティも厳しく登録が無ければ居住区には出入りができない。

 完璧なセキュリティを実現させるために研究部はある仕組みを実用化させた。

 人によってクレアレアの性質が若干異なることを逆手にとってそれをセキュリティロックに応用したのだ。指紋などのように偽装される心配もなければ、認証も簡単だ。

 ただ装置に手をかざせばいいだけ。

 別棟の入り口で装置に手をかざすと、開いた扉の向こうへ歩いてい行く。

 一応、アラキアも登録済みのため私の階に限って出入りできるようにはなっている。

「……」

 アラキアも後ろからついてきているのは感じ取っているのだが、今は言葉を交わせる気分ではなかった。

 座っていたあの時。

 まるであの訓練の時の様な砂嵐スノーノイズが見えたかと思うと、妙な風景が見えたのだ。

 ゲームで見たものでもない。だが、現実でもない。

 確かに知っている場所ではあった。

 今さっきまで歩いていた市街地なのだから。

 しかし、見えたのは瓦礫となった街。

 今まで似たような風景を見たことはほとんどない。それに大旅団艦内ではまず見たことがない。

「アルマ」

「ん?」

 名を呼ばれ顔をあげると自分の部屋の前にいた。

 ずっと立ち尽くしていたらしい。

「ああ、……考え事を」

「そっか。じゃあ、行くね。……何かあったらすぐアストレ先生に言うんだよ?」

「ああ、うん……またね」

 軽く手を振り自室に入ると制服を脱ぎ寝巻に着替えてしまう。

 本来ならば既定の時間までは制服を着ていなければならないのだが、待機命令中の身。怒られることはない。

 装備やら装置やらを外すとひとまとめにして机の上に放り出しベッドに寝転んだ。




 灯りが落とされ、夜となった街。

 昼よりも若干涼しめの風が吹く中、その闇に紛れるような黒衣を纏った女性は微笑む。

「さ、お仕事の時間よ。かわいこちゃん」





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