第32話 お金の使い道
大旅団内にはファストフード店をはじめ様々な店もある。
それも世界中から集められているため巡ってみると新たな出会いもある。
「……」
無言で見つめるショーウィンドウの向こうにはフクロウのブックカバーとしおりが飾られている。どちらもそれほど高い値段ではないのだが、本類は全て地球に置いてきてしまったので買っても使う場所がない。
基本、本は図書館の役割を果たす船に行けば読めるしかなりの種類がそろっている。情報部によって整理整頓され使いやすく戦闘部という身分もあり比較的自由に行き来できる。持って来る必要性を感じなかったのだ。
その他にも戦闘部は特別扱いされている部分があり、普通は料金が必要な場所を無料で使用できたり、戦闘部員専用の場所があったりとかなり優遇されている。
事実、大旅団内で一番優遇されている。
大旅団内では専用の通貨があるが、最初に与えられた量は所属する部署によってかなり異なる。その基準は危険がどうか、そしてどれほどこの計画上で重要性があるかという点に重点を置かれている。
月単位での一定の給与に加えて自分で稼ぐことも出来るらしいが、まるっきりその必要性を感じないほどだ。
基本的な食費などは無償でたまる一方になる可能性の方が高い。
使う場所といえば他の船団員も言えることだが私的な食事や娯楽のみ。
そして、その第1弾になりそうなものがこのフクロウのブックカバーとしおりだった。
「……」
と、ある表示が目に飛び込んでくる。
『今なら、ぴったりの鳥図鑑付き』
即決で購入ボタンを押したのだった。
「で、買ったと」
「うん」
暇になり参謀部の船へ来るとちょうど休憩中だったアラキアにそのことを話した。
「でも、まあ、購入システムが無人販売でよかったね」
「うん」
「……そーいや、明日ワープするって話知ってる?」
「うん。そうすれば目的の惑星が見える場所まで一気に進めるってね。……クレアレアって便利だよね」
「アルマが言うか、それ……」
いまだ技術が確立していなかった部分はクレアレアを使うことで大部分が解決できているというのは出発前に結城から聞いていた。
ワープが出来なければ、最悪コールドスリープしての航行になっていたというのだから楽しみがない。
不謹慎な可能性もあるがこの生活は楽しみもあるのだ。
恐らく上層部の配慮でもあるのだろうが。
「……そしたら、ボクらが実際にトルムアと戦う日も近いんだね」
「そうだね……」
「大丈夫だよ。ボク、必ず地球に帰るって決意してるもん。じゃないと、鳥さんもふもふ出来ないでしょ?」




