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第30話 出発

「いよいよ、か」

「……ん」

 多くの人がいすぎてもう、何人いるのかはわからない。

 今、ここに集まっているのは大旅団員全員だ。数百万人の規模だという。世界中から集められているため聞こえてくる言語はバラバラだ。

 私達、日本のクレアレアはあの白いクローク姿だ。例外的に私は仮面をつけフードを被っているが、それは単に半泣きになっている表情を隠すためといえよう。

 人込みは嫌いだ。

 右手で深川の白衣の袖を握っているが、それでも酔うものは酔う。

「……大丈夫?」

「……ん」

「アルマー」

「……ん?」

 アラキアも話しかけてくるがちゃんと返事をする気分ではない。

 悪いとは思っている。

「あー、凪君ごめんね。今紫苑ちゃんちょっと……」

「ああ、分かってますよ。ねぇ、結城さん?」

「そうだな」

 どうやら結城もいるらしいが顔をあげられない。

 顔をあげたら見えるのは大量の人なわけで。気配に加えて視覚情報まで入ってきたら。

「まあ、とりあえず紫苑君、気を付けて行ってきてくれたまえ。私が行けないのが心苦しいが……」

「結城さんは地球の方の責任者ですからね。大旅団の方は……確か……」

「その件だが、彼がディアル。ディアル・アッカーマン。大旅団側の総責任者だ」

「私が大旅団総責任者のディアル・アッカーマンだ。よろしく頼む」

 聞こえてきたのは流暢な日本語だ。

 ほんの少し顔をあげて一瞬だけディアルの顔をを見るが、やはり金髪碧眼いかにも外国人といった顔をしている。事前にきいていた話でもドイツ人だというのだから本人なのは間違いないだろう。

「おー、ちゃんと機能してるね!してるねぇ!?でしょ!?結城?」

 元気のいい声が割り込んできたがこれは顔を見なくても誰だかわかる。春だ。

「こらこら、春君。問題ないようだが、はしゃぐんじゃない」

「でもすごくない!?これで、言語に問題ないんだよ!?すっげぇじゃん!」

「はぁ……自動翻訳機が間に合ってよかったのはいいのだが、すまんが春君の歯止めは君達に任せてもいいかね?大旅団の研究部が荒れかねん。ディアル君も頼んだ」

「任せてください、結城さん」

「では、またこうして会えることを祈っている。いってらっしゃい」



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