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第21話 制服

「……ふぅん」

 なかなかマシなデザインではないか。

 すっぽりと顔を隠せるフード付きの白いクロークは動きやすいような構造になっているが、それでも体形を安全にカバーできる構造になっている。その下には動きやすく、且つ長時間動いても疲れないよう、そして夏場でも蒸れにくいようにな素材でつくられた長袖のシャツに、同じくゆったりめのズボン。

 小さな小物入れ用の鞄とベルトは皮で作られているなど、凝られているのがわかる。同じく皮で作られたひざ丈のブーツも1人1人採寸して作られたオーダーメイド品で足にぴったりなのはもちろん、多少擦ったぐらいでは痣さえできないほど保護されている。

 手袋もぴったりのサイズにつくられており細かい作業も問題なくできるほどのフィット感だ。

 極めつけは顔を隠すための仮面でちんけで安っぽいものではなく、それでいてつけていて変だと思うような装飾もないデザインになっている。口元だけは露出するがそれは声の通りをよくするためだという。

 これが地球での任務の際に着用する制服のような服装になるらしい。

 クレアレアである、という分かりやすい目印であると共に、個人を特定させないための服装になる。

 これが手元にある理由は単純だ。

 明日から強制的な意思決定が始められるからだ。

 何も最初から実力行使で行くわけではなく明日は単なる『クレアレアのお披露目』に過ぎないのだが、それでも混乱はあるだろう。

 外から見ればこの力は奇術や魔術、魔法にしか見えないのだから。

 実際、これが何なのかは当事者である私達もよく分かってはいないが、ただ1つ、この力が実在し使えるということだけは確かなのだ。

 人は理解の及ばないものを拒絶する。

 特に、日本人はその傾向が強いといっていいだろう。

 自分たちの『普通』でないものをとことん拒否する。

 恐れられ拒絶され、差別され、挙句の果てにバケモノとさえ言われる。一部の人はそんな反応をするだろう。

 本気で探られればこの格好でも誰なのか特定される危険はある。

 結城達はそれを何度も謝っていたが、それも私にとっては今さらだ。最初から周りの反応など、ほぼ関心などないといってよいのだから。

 両親と数人の親友さえ、理解してくれるのならば。分かってくれるのならば。

「……」

 ベルトにハルからもらった光剣をつるすと、手に持っていた仮面をつけ鏡を見る。マジックミラーのような加工がしてあり、のぞくための穴がなくとも着けていない時とほぼ変わらない景色が見える。

 一度その状態を鏡でまじまじと見てみるが若干、髪が見えるほかは完璧の隠されている。

「……うん、いいね」

 その場でくるりと一転するとそう、独り言ちた。




「やあ、久しぶりだね。紫苑君」

 まともに顔を合わせるのは1か月ぶりだろうか。

 前よりも少しやつれた結城は集合場所である噴水の淵に腰掛けて待っていた。

 挨拶うんぬんよりもまず口をついて出たのは、

「……寝てる?」

の、一言だった。

 それに結城は、まだ寝れてると言うべきかな、と苦笑する。

 本人はさらりと受け流したが、実際、かなり疲れているはずだ。

 正規の対応はもちろん、ネット上やリアルではいわれのないバッシングがあるのだから。それに加え計画に向けての準備や、研究もある。

「私のことは置いておくとして、準備はいいかな?」

 軽く頷いて返事をする。

 これから、地下の駐車場に移動して車で都心まで移動するのだ。

 もちろん秘密裏に。

 そこからは警察や自衛隊といった協力機関の面々と顔合わせをする。と、いっても素顔を隠した状態でだが。

 そこからは全国で一斉に作戦に入る。

 幸い1週間の猶予期間を設けたことで対象者はかなり少なくなっていた。それに地方ごとに分けられたのもよかっただろう。

 この大学に集められたのは主に関東に住む人間だった。それもこの大学に通っている人間だったため容易だったのだ。

 そしてこことは別に北海道、東北、中部といった地方ごとに数人ずつクレアレアがいるという。

 それでも一番対象者の数が多く、抵抗が目立っているのは関東地方であり私達の管轄であるという事実は変わらないのだが。

「さて、向かうとしよう」


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