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第20話 決意


 結論から言えば、両親はコールドスリープを選んだ。

 あの日、どうにか計画に関わっているということがばれることなく済んだのだが、大変だったのはその後だった。

 再び研究施設となった大学に戻るため、最寄り駅まで行ったはいいが多くのジャーナリスト曰く記者たちが駅前で片っ端から関係者に見える人に声をかけて廻っていたのだ。

 駅前のコンビニで情報部の人と合流しどうにか大学内に入ることに成功したのはいいものの、迂闊に外に出れない状況になってしまっていた。

「いーや、まいったまいった」

 これは深川の言葉である。

 彼も私が帰っている間は結城のサポートにまわっていたが、予想以上に忙しかったという。

 その結城に至っては対応に追われて顔も見せられない。

「手続きの整備とか大変みたいだよ」

「ああ、アレも結城さん管轄なの?」

 一度にコールドスリープできる人数は限られているため、グループごとに複数回に分けてコールドスリープしていくらしい。

 それにコールドスリープを拒否した場合の対応もあり、現在その希望調査中というわけだ。

「まあ、それに関しては日本国内の調節だけだけどね。それでも膨大な量の情報管理が必要みたいで大変みたいでね」

「どれくらいの人がコールドスリープを選んだの?」

「意思を確定している人の中ではほぼ選んだといっていいかもしれないね。それでも年齢が上がっていくにつれて選んだ人は少なくなってる。高齢者だけで見るとむしろしない人の方が多いね。そもそも、意思を確定している人自体が半々だし」

「……やっぱり最終的には?」

 その言葉に深川は頷く。

「本当は誰もそんなことはしたくはないしさせたくもないけれど、君達や自衛隊、警察を動かして強制選択させることになるだろうね」

「そう」

 私自体は自ら動くことにそれほど躊躇はない。

 確かにとある事情で日本中に知り合いがいるが、彼女らから自分がどう思われるかはほとんど今後には関係ない事になってしまうからだ。

 人は薄情と言うだろうが、私自身、自分が割り切ってしまえば冷酷な対応を出来ることを知っている。そこに相手に同情するという感情はない。

 それに実際に動く際個人が特定されないようは顔を隠すなど、手配してくれるという。ならば、なおさらだ。

 その対象に両親や特に親しい友人などが入っていれば話は別だったろうが、幸い全員進む道は決めてあるという。

 迷うことなどない。

 この計画に戦闘要員として参加することを決めた時から、とるべき行動はただ1つ。計画を成功させることのみだ。

「……で、いつ頃なの?ボクらが動くのって?」

「一般人の返答機嫌が2週間後。その後1週間猶予期間を経てから、だから3週間後だね」

「……クレアレアの力が必要なほど?仮にも日本でしょ?」

「そうだね……。この閉殻を疑っている人にとっては、この力は1つの説得材料になるかもしれない。あとは、過激な人っていうのも少なからずいるからね。だからと言って見殺しにはできない。……たとえそれがこちらの傲慢な考えてあってもね」

 その言葉にあることを思う。

 これは見方を変えれば一種の戦争の様な理論になるのではないか、と。

 歴史に疎い自分では現実世界のことはよくわからないが、小説やゲームの中での戦争というものはそれぞれの信念にのっとって戦うものが多い。

 自分の立場から見た正義はあれど、そこに絶対的な正義などない。

 もしかしたら、これもそうなのかもしれない。

 抵抗する人だけでなく、もしかしたら。

「……」

 そこまで考えて続きを考えるのが怖くなった。

 現時点でトルムアに意志はないとされているが奴らは統制のとれた動きをするという情報がある。仮に奴らに意志があるとしたら。奴らを操るとされるのが意志を備えているとしたら。

 向かう先はそれぞれの正義にのっとった殺し合いではないか。

「……やるよ」

 どうなるかはやってみればいい。

 自分の信じた道を進まないで後悔するのならば、やってみて後悔する方がきっといい。

 それが、どんな結果になろうとも自分の信じた道を進んだ果てならば。




Side:???

 身を包む闇の中、目をつむってもそこが光などない暗闇なのは変わらず。

 そっと息を吐くとさらに身を抱え丸くなる。

 遠くからは雫の滴る音が聞こえてくる。

 どれほどの時間そうしていたのだろう。

 おもむろに立ち上がると、薄らと差し込んできた光へ向かって歩き始めた。




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