第19話 公表
「ねぇ、どう思う?」
そう問いかけると愛鳥は手の内から不思議そうな顔で見返してくる。
「……って言っても分からないか。家の中しか知らないもんね」
ちょうど帰ってきてから1週間。
今日があの計画の公表日だ。
事前に伝わってきた話では政府からの汚灰に関する重大発表という体裁で全テレビ局で一斉に生中継するという。
(……ド直球だなぁ)
左手で鳥を撫でながら右手でマウスをいじる。
どんなことでもネット上で情報が漏れるということがある。だが、結城達の情報管理が厳重だということか、どのサイトを見ても見当違いな憶測こそあれど計画自体を掴めている人はいないらしい。
一番心配しているのは両親の反応だった。
若い世代はライトノベルなどでコールドスリープなどの単語を知っていてこの計画を受け入れるのは難しくないはずだ。現に説明を聞いた時の私達がそうだった。
最初こそ疑い驚きもしたが、一度納得してしまえばあとはそれが当たり前になっていたのだから。
だが決してそういうことに明るいとは言えない人はどう反応するか。
それをどうやって計画実行へ持っていくのか。
おそらく最終的には強制的な実行になるだろうことは分かっているが、せめて両親には自分の意志で選んでほしい。
今はただ、流れを見守ることしかできなかった。
夕食を食べ終わり食器を片付け終わると両親がテレビを見ているのを確認して寝室に行く。
本当ならば直接反応を見るべきなのだが、私にはその勇気がなかったようだ。問題を後回しにしているだけなのだが、今面と向かって私は計画に関わっているのだと言える気はしない。
しばらくはごまかすことになるだろう。
結城も言うのは今日でなくともよいと言っていた。
まずは如何にして両親を説得するかだ。
両親がどう言おうと私の進む道は決まっているが、心残りがある状態で旅立ちたくはない。
(そういえば……)
訓練中に現れたあの仮面の人物。
奴はこの計画から離れろと言っていたが、何故そんなことを言ったのだろう。
私の事を知っているような口ぶりだったが、私の記憶にはそんな人物のことなど少しもない。
どこかで会っていたとしても、私のゲーム内での名前と本名、どちらもを知っている時点で限られるのだ。そんな人物などいない。
「……」
考えたところで答えは出ない。
時計を見ると計画が公表された時間から既に1時間が立とうとしていた。
そろそろ潮時だろう、とリビングへと向かった。




