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第18話 一時帰宅

「1人で大丈夫かね?」

「……大丈夫、だと思う」

 大学の正門前で結城と深川の2人に対して自信の無い声で答える。

 今日は定められた2週間の期日の最終日、つまりは帰宅する日なのだ。

 思ったよりもハッキングの影響が長引き、昨日までまともに歩けなかったのだ。今は何とか普通に見える程度には歩けるが、走ったり長時間立っていることは避けたい。

「とりあえず、ここから大学の最寄り駅までは僕も一緒ですからそこまでは大丈夫でしょうけれど」

 隣に立つ凪が言うが、問題はそのあとだというように深川が口を開く。

「その後、何時間かかるんだっけ?」

「2時間半、運が悪ければ4時間……かな」

 県を複数またぐ、というのもあるのだが最後の方は乗り換えがうまくいかないとかなりの時間待つことになる。それに汚灰はいの影響で外に出ることが少なくなったとはいえ、一度は都心に向かうため座れるかどうかは怪しい。

 一見すると体調が悪そうにも、どこか怪我をしているようにも見えない。だからと言って立てなくなるまで悪化してからではちょっとした騒ぎになる。

 原因自体が機密事項のためそうなっては困るのだ。

「……やはり紫苑君の最寄り駅まででも」

「大丈夫……たぶん。だって深川先生も仕事があるだろうし」

「おやおや、僕の仕事は紫苑ちゃんの専属医師だよ?」

「でも、遠いし……」

「まだ、今日中に往復できる場所は遠いとは言えないよ。いいですよね、結城さん」

「頼んだ」

 結城がyesと言ってしまえばそれまでだ。

 諦めと同時にどこかホッとした。



 やはり結城の判断は正しかったようで途中何度か深川に助けられた。

 一番ゾッとしたのは階段でバランスを崩したときだろう。あの時、深川が掴んでくれなかったらどうなっていたことか。

「じゃあ、僕はここまでだね」

 自宅の最寄り駅についたころには昼を過ぎていた。

 結局、助けられてばかりだった。

「この1週間はゆっくり休んで。……それからは忙しくなるだろうから」

「……ん」

 1週間後。

 それが計画が一般に告知される日だ。

 そうなれば結城も深川も、既にあの計悪に関わっている人たちは休む暇がないほど忙しくなるだろう。

 もちろんそれは私も例外ではない。今度は1か月の訓練期間に入るのだ。

 それまでに休めるだけ休んでおかねばならない。

 訓練だけでなく、混乱をおさめることも仕事になってくる。

 正直言ってそれは賭けだ。計画に直接かかわり大旅団のメンバーとして旅立つ人員、それから地球側からサポートする人員以外。

 そう、それ以外の大半の人間をコールドスリープする計画なのだから。

 抵抗は必ずある。

 大旅団計画自体何年かかるかもわからないもので、解決するまで一般人を放っておけば汚染は拡大する。それを許すわけにはいかない。

 希望者はコールドスリープをしないで地球側のサポートにまわってもらう予定だが、それでも汚染されていく事実は変わらない。クレアレアを扱う素質がない限り、長時間かかる自殺といえよう。

 それも、最後にはクレアレア達に殺されるしか道がないもの。

 結城もそれは避けたいと話していた。

「先生も気を付けて。……じゃあ、また1週間後に」

「ああ、じゃあね」



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