第8話 対抗者
汚灰は地球上のものではない。
あれは地球に干渉した地球外の力が引き起こしたものである。
そして蝕まれた者は徐々に汚染されていき自我を失い狂い死んでゆく。大抵の場合、狂う前に体が耐えきれず亡くなるという。
だが、稀に死なずに狂化してしまう人がいた。
彼らは自分の意志に関係なく人を襲うようになった。大幅に身体能力が強化された彼らに襲われた研究者は、とある観察結果を出した。
彼らは無作為に人を襲っているのではなく、まるで何者かに統制されたような動きを見せることもある、と。そして彼らのように汚染された者をトルムアと呼びようになる。
それがきっかけで始まった大規模な研究で1か月半という短期間で多くの事が判明した。
汚灰が地球外のものだということ。
どのような行為が汚灰による汚染につながるのか。
汚灰で構成された、まるで汚灰が具現化したような生物が存在すること。
そして、汚灰に対抗できる人間がいること。
「それが、君達の内の数人だ」
まるで、小説の内容を話されているみたいじゃないか。
それとも事実は小説より奇なり、というやつだろうか。現実に汚灰が降っている時点で非現実的だが。
それはそうと私は周りに簡単に流されない。自分の目で見て考えてそれの真偽を自ら判断することを良しとしている。だからこそ、続きを聞かなければならない。
何故、私達なのか。
いや、その前にその数人が誰なのか。
「これから前に提示されたグループに固まってもらう。説明はそれからだ」
一瞬、グループ、という単語に思考が停止しかけるが、単に分かれるだけなら1席ほど距離を置いて座っておけば誰かと組まされる、なんてことはないはずだ。……だぶん。
持ち物の違いから凪とは別だろうと予想していたが、やはりそうだったようで部屋のほぼ反対側に座っている。さらに最悪な事に詰めて座れと言われてしまったが所以に隣には人。
最悪だ。
後ろの席にも人。
自分の死角に誰かがいるのは、特に知らない人がいるのは気持ちのいいものではない。
私のいるこのグループは全部で4人。約50人いる中では一番少ない人数だ。内訳は女子1人、男子3人。男子の多いこの大学ではめずらしくもない構成だ。
「では説明を始める」




