第7話 選ばれた者達
「……」
教室の隅の席に座り入ってくる人を見つめる。
仮に大学全員にあの手紙が送られているとしたらこの教室では入りきらないだろう。
1学年1学部で約350人。入学式で2000人ほどの新入生がいたのは覚えている。
対してこの教室の許容人数は60名ほど。立ち見を入れればそこそこの人数は入るだろうが。
そしてこの部屋以外に人がいる様子もない事からやはりあの手紙は学生全員に送られたものではないことが確定した。
「アルマ……?」
「?」
何故、私のハンドルネームもといアバターネームを知っている人がここにいる。
そう思って振り返るとそこにいたのは六合凪だった。
「は?」
「やっぱりアルマだ」
いつもの黒い鞄を持って隣の席に座ってきた凪。
なぜ彼がここにいるのだろう?
ここにいるということは、あの手紙について話してもいいということだろう。
いや、その前に確かめたほうがいいだろう。
「なんで凪がここにいるの?」
「なんで、って。んー、手紙で呼び出されたって言ったら通じる?」
やっぱりそうか。
「で、この状況について何か考察あったりする?」
「いや。何も。そういうアルマは?」
「ボクも何もないよ。……まあ、何かあることは確かだろうけどさ。運動着、なんてね」
「運動着?」
「持ち物欄にあったじゃん」
「いや、ないよ。筆記用具とパソコン類だけだったし」
どうやら何か違いがあるようだ、と思ったときに教室の前の扉が開き人が入ってくる。
大人。だがこの大学の教授ではない。
だが、どこかで見たことがあるような気がした。
そのあとに続いて見知った顔の教授たちも入ってくる。
その中でも私の学部の学部長は教室の前にある小さな教壇に立つと口を開いた。
「よく聞いてほしい。今から言うことは決してふざけているわけでも試しているわけでもない。いいかな?」
いつになく真剣な顔で話す学部長が言った言葉は、これまで聞いた言葉より非現実的で冗談にしか聞こえない言葉だった。
「君達は選ばれたんだ。この汚灰の災厄を解決するために」




