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第6話 手紙

「そういえば紫苑、大学から手紙が届いてたよ」

「え?手紙?」

 食事もひと段落したところで母親が言う。

「そこの机に置いてあるよ」

「わかった」

 大学からの連絡は基本、学内向けのサイトで掲示される。

 送られてくるのは成績表だったり学費の振り込みだったりという重要なモノだけ。

 だからこそ毎日サイトはチェックしていたのだが休講になってここ2か月間、特に何も更新はなかったはずだ。

 両親から少し離れたところで封を切ると数枚の紙が出てくる。

 少し離れたところで開封したのは正しい判断だったらしい。

 最初の一文に、

「学生のみで読むこと」

 と、書かれていたからだ。

 読んでみると特に問題のありそうな内容はなかったが、このことについて外部に広めてはいけないという注意文があったことからなのだろう。

 内容は来週から2週間ほど大学に来るように、という内容だった。本人確認をするためか学生証、その他にも講義で使うパソコンだったりと持ち物が記されている。

 だが。

 保険証、運動着、運動靴……。

 よく分からないモノまで持っていれば持ってくるようにと言うのはどういうことなのだろう。

 とりあえず大学に戻ることを伝えなくては。

「なんか大学から呼び出しみたい。2週間くらいだって」

「呼び出し?」

「うん。内容はよくわかんないけれど。……あ、サークル関係じゃないかな」

 一応、会計を務めていることもあって学務から直接連絡来ることもあった。詳細を言わないためには抵当に言っておくのが一番だろう。

 なんにせよ、よく分かっていないのは事実なのだから嘘をついているわけではない。



「じゃあ、行ってくるね」

「気を付けていってらっしゃい」

「うん、……あ、お利口にしてるんだよ?」

 照明の上にとまってこちらを見つめていたインコに手を振ると扉を開けて外に出る。

 いつもなら蒸し暑いはずの夏も汚灰の影響で地上に届く日の光が減ったのか例年よりも涼しい。

 薄い上着についたフードを被ると駅へと歩き出した。


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