エルフ代表者達、富裕代表者達
エルフ代表者達が利用する部屋は緑に溢れていた。
室内であるのに、まるで森の中のような風景が広がり、支える柱は巨木のようなデザインが施され、いくつもの蔦や蔓が巻き付いている。床は大地が広がり、装飾品のように落ち葉やドングリ等木の実がそこかしこに点在していた。
また、室内に森を感じさせるためか更なる演出として、リスやムササビ等の小動物も生息している。
そのような室内の中央には巨大な切株が置かれ、テーブルの役割を担っていた。
切株のテーブルの上には質の良いティーカップとティーポットが置かれ、淹れたてなのだろうかティーカップに注がれた紅茶からは湯気が立ち昇っている。
そのテーブルの周りを囲むように小さな切株が設置され、そちらは椅子の役割をしているようだ。
いくつかある切株の椅子には既にエルフ代表者達全員が座っており、自分の前に用意されている紅茶を嗜んでいる。
エルフ代表者達は、紅茶から立ち昇る香りに笑みを浮かべ、部屋の中なのに森を感じて自然と目を閉じ、リラックスしていた。
「ふぃ~……。相変わらずここは何度来ても森を感じる事が出来るのぅ。室内であるのに不思議じゃわい。どうじゃ? お主達もそう感じんか?」
周りに居るエルフ達へと視線を向けながら尋ねるようにそう言ったのは、エルフ代表者達の中でも見ただけでわかる高齢で、エルフ代表者達の隊長でもあるその人物の名は「オブイ・トロプス」である。
白く輝く長髪を後ろで1つにまとめ、その顔は皺が多く刻まれているのだが眼光が鋭く、エルフ特有とでも言えばいいのか高齢ではあるのだが顔の造り自体は端整であり、長い耳は下に向かって垂れ下がっていた。
全体をすっぽりと覆い尽くす緑色のローブを身に纏っており、その身から感じられる雰囲気は、頭に王冠はないがどこかの王族でもあるかのような気品を感じさせる。
そんなオブイの投げ掛けに、元気一杯の声が返ってきた。
「凄いですね! オブイさんの言う通り、本当に森の中に居るような感覚を感じます! とても室内に居るだなんて思えません!」
「そうであろう、そうであろうとも。ワシも毎度同じような事を感じておるよ。森から出たと思えば、森を感じる部屋へと案内される。最初はとても驚いたわい。それにこれは、この部屋だけではない。塔全体がこのような造りで、他の部屋でも一緒じゃぞ」
「本当に凄いですね!」
顔を輝かせながらそう言う人物の名は「ムライス・リブクル」。
ムライスはエルフ代表者達の中で、最も幼いエルフである。
輝く金色の短髪に、その顔立ちは端整な者が多いエルフの中でも群を抜いて整っており、今はまだ幼さが残っているが、将来は間違いなく誰しもが見惚れると言われていた。
活発に動く子供が着ているような、上下共に手足が出る短い服装を身に纏い、純粋で人懐っこそうな笑みを浮かべるムライスが、楽しそうにオブイに話しかける。
「オブイさん、ここはいつもこうなんですか?」
「そうじゃの、毎度毎度で細かな所は変更されておるが、概ね変わらんの。居る小動物の種類が変更されておったり、木の種類が変わっておったり、その程度の事じゃが、森を感じる雰囲気はいつも同じじゃ」
「へぇ~……。代表者達が使う塔は凄いとは聞いていましたが、ここまで凄いとは思っていませんでした。僕は森を出た事が無いんですけど、世界の技術は本当に凄いんですね」
目を爛々と輝かせ、興奮したように語るムライス。
その姿を微笑ましそうに眺めるのはオブイと、もう1人居た。
「ムライス君は良い体験をしているぞ。幼き時に受けた出来事は後々の生活に多大な影響を与える。良し悪しは問わないがな……。だが、今の内に世界を広さを体感するのは良い事であると私は思うぞ」
「そうですかね? ロカートさん」
「うむ。後はこの経験をどのように生かしていけるか……。それはムライス君次第だ」
そう言ってムライスの肩を叩き、不敵な笑みを浮かべる者の名は「ロカート・ラルバ」。
くすんだ金色の長髪をオールバックで後ろに流し、面長で端整な顔には装飾品として眼鏡がかけられていた。
眼鏡の奥に見える切れ長の目は、どこか好奇心のようなものが見え隠れしている。
ただ、着ている服装はどこか異質というか、この場にそぐわないというか、白衣を身に纏っていた。
確かにこの場にはそぐわないが、本人にとっては特に気にした様子もなく、着慣れているように見える。
「はいっ! 頑張ります!」
ロカートの言葉にムライスが元気一杯に答える。
「うむ、良い返事だ。だが、そのためには生き残る事が大切である。ムライス君にも負けられない……いや、生き残らねばならない理由はあるのだろう?」
「あります! そうですね、確かに僕は、まだここで死ぬ訳にはいかないです!」
「そうであろう。だが、それは相手にも言える事なのだ。その事を忘れるなよ。こちらも必死であるように、向こうもまた必死なのだからな?」
「はいっ! と、言う事はロカートさんもオブイさんも、そういう理由があるって事ですか?」
ムライスの無垢な問い掛けに、ロカートと苦笑を浮かべるが、オブイの方はどこか懐かし気に目を細める。
「それはもちろん、私にもそういう理由はある」
「ワシは……そういう理由が無くなったのぅ……」
オブイはそれだけ言うと、どこか遠くを見つめだした。
ロカートとムライスは触れてはいけないと思い、かける言葉を模索するが、その前にオブイが不敵な笑みを浮かべて2人に言葉を投げかける。
「まぁ、だからといって、他種族の手にかかって易々と殺られるつもりはないがな」
その言葉に、ロカートとムライスはほっと胸を撫で下ろす。
オブイは何度もこの戦争を生き残ってきた猛者であり、自然とエルフ代表者達の隊長に選ばれ、本人達が気付いているかはわからないが精神的支柱のような者であった。
そんなオブイが見せた物憂げな表情に、ロカートとムライスは動揺したのである。
しかし、長年の経験からか、その事を理解しているオブイは2人の心の内を払ったのであった。
そしてその後も、ムライスの質問に答えていくロカートとオブイであったのだが、その一方、ここに居ない残りの2人はというと……部屋の森の中で、それぞれ別に過ごしていた。
その内の1人は、木の柱に背を預けて座り、虚空を眺めていた。
「あぁ~……、もう俺の人生終わりかぁ……。短いという訳でも長いという訳でもないけど、悔いがあるかと問われれば、特に思い付かないが……。いや、結婚くらいは……でもなぁ、どうせ俺なんかの所に嫁ぎに来てくれる人なんて居るとは思えないし……。それはいいかぁ~……。どうせ、この戦争で死ぬんだろうし……」
そう呟いて、自分を悲観する者の名は「アッティ・トレディ」。
エルフ特有の端整な顔立ちに、少し緑掛かった金色の髪、袖口がゆったりとしている服を身に纏っていた。
ただその目は、ぼぅっとしており、どこを見ているのかわからない。
足元には軽食としてサンドイッチと、葡萄ジュースが注がれているコップが置かれているのだが、サンドイッチは手をつけた様子がなく、葡萄ジュースをちびちびと飲んでいるだけであった。
アッティは、そのまま眠るように目を閉じ、ただただ開始時刻を待つ。
そして、もう1人の方は部屋の森の中で、その身を隠すように居た。
その者の周りには、この部屋に生息しているリス達が群がっており、その者の手に持たれているナッツ類を受け取っては食している。
リス達が口一杯に頬張る姿に、その者は満面の笑みを浮かべた。
「……はぁ~……。癒されるぅ~……。なんて可愛いんだ、このリス達。もうあれだな。世界に人なんて必要ないな。こういう可愛らしい小動物だけでいいじゃないだろうか。他に何もいらない。俺の周りには、この子達が居るだけでいいや……」
そう呟く人物の名は「パネラ・ルデカ」。
くすんだ金髪に、端整というよりは中性的な顔立ちをしている男性である。
フード付きの軽装を身に纏い、今はそのフードで自分の中性的な顔を隠すようにすっぽりと被っていた。
手の中のナッツ類が無くなれば、自分の近くにある小袋から再び取り出し、リス達に与えている。
それだけでパネラは満足であり、このまま本当に、自分とリス達だけの世界に浸っていたいと本気で考えていた。
しかし、その考えは唐突に終わる。
「アッティ! パネラ! そろそろ時間であるっ! こちらへ来いっ!」
オブイの声が部屋中に響き渡る。
その声に呼ばれた2人は、それぞれ反応した。
アッティは、ぱちっと目を開き、面倒臭そうに体を起こす。
パネラは、はぁ~……と大きくため息を吐き、嫌そうに体を動かした。
そうして2人はオブイ達の所へと向かい、合流すると、揃ったエルフ代表者達5人は戦いのための準備へと向かう。
◇
ラナディール・パラダイス・ヘブンリーを頂点に、富裕者達が治める大陸「パラダイス」は、ある意味、時代の先を進んでいると言えるだろう。
この大陸に住まう者達は、他種族に対して特に憎悪の感情を持っていないからだ。
だからこそ、この大陸には多種多様な種族が住まう。
だが、この大陸に住まう者達には別の価値観が存在した。
それが「金」である。
だからこそ、彼等は「富裕者達」と呼ばれていた。
しかし、他種族に憎悪が無いといっても、差別が無くなるという訳ではない。
確かに他種族というだけで差別はしないが、代わりに金のある無しで上下の格差が存在していた。
つまり、富裕者達はパラダイスに住まう自分達以外の、他の大陸に住まう者達を下に見ているのである。
では何故、富裕者達が種族間戦争に参加するかというと、“最高の娯楽”として楽しんでいるのだ。
大陸名「パラダイス」が示すように、この大陸には富裕者達が楽しむための娯楽施設が多々存在する。
その中でも、やはり一大収入源となるのがカジノであった。
カジノで得る収益の内、最も金が動くのが「種族間戦争」である。
勝利大陸や何人死ぬか、誰が何人殺すか等の項目を設け、富裕者達がそれに金を賭ける賭博行為が行われており、大陸内総出で楽しんでいるのであった。
だからこそ、自分達が更に楽しむため、種族間戦争に参加しているのである。
そんな富裕者代表者達に与えられる部屋は、丹念に清掃が行われ、塵1つ無い、白を基調とした所であった。
富裕者達が独自に金を出し、自分達が居るべき状態に施している。
床と柱は反射するのではないかと思う程に磨かれ、調度品に至っては、その辺りに無造作に置かれている物であっても、他大陸では例え王族であっても容易に所持する事が出来ない程の一品であった。
この部屋に置かれている調度品を全て足せば、小国の国家予算を遥かに超える。
それほどの贅が尽くされているのであった。
そして、この部屋の中央には品の良い巨大なテーブルが置かれている。
そのテーブルを囲うようにして、4人が優雅に紅茶を嗜んでいた。
もちろん、その紅茶も自分達の資産に任せて用意した最高品質の茶葉である。
「……ふん。この茶葉にも飽きたな」
口に含んだ紅茶に対して、つまらなそうな表情を見せた者の名は「エダル・リズベルト」。
少し赤色が混じった金色の髪に、整った顔立ちなのだが吊り上がった目の影響か、生意気な、勝気な印象を相手に与える人族である。
品が良く、仕立ての良い貴族のような服を身に纏い、最早飲む気は無くなったとでもいうように目の前にあるテーブルへと、紅茶が注がれているカップを乱暴に置く。
ガチャンと響く音と共に、エダルに対して諌めるような表情を向ける者が居た。
「エダル、そのような乱暴な行動はやめておいた方がいい。自分の品格を下げる行為だぞ。私達は自大陸だけではなく、世界においても上位に位置する存在だ。それに相応しい所作を身につけておけ」
「大丈夫だって、他の者達の前ではちゃんとするさ、キステト兄。さっきの行動は言うなれば、この場に居る者達への信頼の証さ。これだけ心を開いているというな」
「……ならいい。他の者が居る時は気を付けておけよ」
「わかってるさ。そんなヘマはしねぇよ」
そうしてこの2人は、互いに不敵な笑みを浮かべる。
エダルが親しげに会話を交わした人物の名は「キステト・ウォーラ」。
富裕者達の隊長に任命されている猫の獣人である。
さらさらと手触りの良さそうな灰色の毛に、人の体。手足はもちろん肉球付きで、その身に纏うのは仕立ての良い貴族服であり、オーダーメイドなのか、長い尻尾もきちんと出ていた。
エダルとキステト。
家名である「リズベルト家」と「ウォーラ家」は親戚であり、富裕者達の大陸・パラダイスにおいても有数の資産家である。
2人は幼き頃から親交があり、年齢が上であるキステトは、エダルにとって兄のような存在であった。
そんなキステトの前にも紅茶は用意されているのだが、彼がそれに手を付ける素振りは一切見せない。
それはもちろん、キステトは猫舌だからだ。
紅茶を飲みたいとは思っているのだが、未だ淹れたてなのか、カップからは湯気が立ち昇り、キステトは紅茶が冷めるのをただただ待っていた。
「キステトさんは、やっぱり熱いのは飲めないんですね?」
「……猫舌だからな。熱い食べ物も、出来れば御免被りたい」
「苦労してそうですね……」
「家に居る時は、皆知っているからこういう苦労はないんだが、やはり初めて赴く場所では毎回こうだ。だからと言っていいのか、もう慣れたな」
「全く……。キステト兄は他の者に甘い。冷めた物を用意しろと一声かければいいものを……。お前もそう思わないか? レオン」
「そう言うな、エダル。私がそれを望まないのは知っているだろう。そういう訳だから、レオンも気にするなよ」
「ははは……」
キステトに対して気遣うように声をかけた者の名は「レオン・ドレスフィール」。
人族であるレオンは輝くような金色の髪に、男性でも見惚れる程整った顔立ちを持ち、動きやすそうな軽装ではあるのだが、見る者が見ればわかるだろう最上質の絹で仕立てられた服を身に纏っている。
「ドレスフィール家」は、パラダイスにおいて「リズベルト家」「ウォーラ家」に並ぶ有数な資産家の1つで、レオンはその家の長男であり、人族代表者の1人である「グラン・ドレスフィール」の母親違いの兄であった。
そうして3人で話している所に、別の方から子供のような高音の声がかかる。
「ふぅ~ん、大変なんだね、猫舌って。やっぱり猫の獣人だから、なんていうの? 特性? みたいなものを引き継いでる感じなの?」
投げかけられたその質問にもキステトは、態度を変える事なく、丁寧に答える。
「そうだな。まぁ、そういうものだと思うが、中には平気な者も居るには居るから、猫の獣人全員がそうという訳ではないな」
「へぇ、ならキステトさん自身が猫舌であると思っていた方がいいのかな?」
「そういう訳でもないが……。出来る事なら、これから猫の獣人に出会う時があれば、その都度、本人に確認する方が礼儀としては正しいだろう」
「そっか。わかった」
キステトの答えに対して、満足そうにうんうんと頷いている者の名は「ミミク・ペテトキクル」。
魔族の少年である。
濃い紫の髪に、灰色の肌、顔立ちはまだまだ幼さが前面に出ているが可愛らしいと言っていいだろう。黒を基調にしている、動きを阻害しない程度にゆったりとした服装で、背丈もまだまだ小さい。
ミミクは、パラダイスで最近台頭してきた「ペテトキクル家」の次男である。
ペテトキクル家は新興の資産家ではあるのだが、パラダイスでそういった部分は関係ない。古参だろうが新興だろうが、資産の多さが家の価値を決める。
それがパラダイスの習わしであった。
「ペテトキクル家」は、「リズベルト家」、「ウォーラ家」、「ドレスフィール家」の3家の資産には遠く及ばないが、現在勢いがある家として上位資産家達に覚えられている。
だからこそ、エダル、キステト、レオンの3人も、ミミクを共に戦う代表者として歓迎していた。
「ミミクは何でも聞きたがるな。俺もさっき効率的な金の運用方法を尋ねられたぞ」
「獣人の事を聞く魔族というのも、面白いな」
「自分も聞かれましたね」
「僕はまだまだ子供ですからね。大人だと尋ねにくい事でも平気で聞けますし、答えにくい事でも結構答えてくれますから。今の内に色々聞いて、将来に役立てないと」
「「「……強かだな」」」
声を揃えて言う3人であるが、内面は同じ事を思っていた。
ミミクがペテトキクル家を継ぐと面白い事になりそうだな、と。
パラダイスの上位資産家達は皆、金を稼ぐ者、金を稼ぎそうな者を喜ぶ性質がある。
エダル、キステト、レオンの3人は、ミミクの将来に対して強い関心を持ったのであった。
そんな中、エダルはこの部屋の隅の薄暗い場所へと視線を向ける。
そこには、薄暗い中で1人佇む者が居た。
「ミミクは俺達のようにパラダイスの上位者に辿り着くかもしれない可能性がある。お前の役割はわかっているな? ウイゼル」
「……はい。……皆様の“盾”になる事です」
「わかってるならそれでいい。お前の命は俺の匙加減1つで決まるという事を忘れるなよ?」
「……はい」
エダル達に決して視線を合わせず、俯いたままそう答える者の名は「ウイゼル・カーマイン」。
黒茶色のぼさぼさの髪に、平凡と言える特に特徴の無い顔立ちで、品の良い執事服のようなものを身に纏っているが、その首には重厚な鉄の首輪が巻かれ、片方の目の下には鋭利な刃物で切られたような古い傷痕があった。
鉄の首輪は“奴隷”の証である。
といっても、奴隷として扱われるのは基本犯罪者であり、滅多に存在しない。
魔法が消えたこの世界において、奴隷の首輪に拘束力は無い。命令を強制させる制約も存在しない。それでも1つ1つに特殊な加工が施されており、専用の鍵が無ければ外す事も出来ないのだ。
そして、世界共通で認識されている事がある。
それは、奴隷の首輪をしている者は最底辺であり、この首輪がある限り、どこに行こうが扱いは奴隷のまま変わらないという事だ。
しかし、パラダイスにおいては別の意味もあった。
パラダイスでの地位の高さ、強さは資産の高さであるが故に新参家達による下剋上も、これまで何度も起こされているが、上位家達はその全てを撥ね退けて来た猛者であり、その結果、新参家達の資産財産は全て没収され、奴隷へと落とされるのである。
それ故に、この者達には“落伍者”という意味も含まれていた。
ウイゼルもまた、奴隷の落伍者である。
そして、現在の主人は、この場に居るエダル・リズベルトで登録されていた。
その事を、自分の今の立場を充分理解しているウイゼルは暗い表情を浮かべながらも、決して何も言わない。盾と言われても、それを受け入れていた。
ウイゼルの態度が面白くなかったのか、エダルはつまらなそうに舌打ちをすると、再びキステト達へと視線を戻して会話を交わす。
会話の内容は主に、あのカジノがどうとか、あのディーラーは手強いとか、あのゲームは面白かったとかであり、そのまま4人で戦闘準備時刻までのんびり過ごし、その間、ウイゼルも決してその場から動こうとはしなかった。
そして第一戦、エルフ対富裕者達の戦いが始まる。
戦闘をどのように戦って、どう終わらせるかで悩む今日この頃……。




