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第1章 侵食の矛先~老舗農家令嬢の裏の顔(3)~

それは、美咲が桜花女子大学4年生の時に遡る出来事だった。


当時、現在の婚約相手とは全く別の男性と交際していた美咲は、突然こんな申し出を受けたのだと言う。


「お願いだから、これをお前の家で預かっておいてくれないか。」


それはブルーシートでくるまれていたのだが、中身は犬の死体であり、家に帰ったら突然死んでしまっていたので、気が動転してしまい、どうしていいか分からなくなったのだと言う。


にわかには信じ難いナンセンスな申し出であり、最初は美咲も断ったと言うのだが、あまりに強く迫って来た為、結局は渋々承諾してしまったと言うのが事の発端である。


しかし、犬にしてはどう見ても大き過ぎる物であり、そもそもが動物の死体だけあって、当時の美咲の部屋からは異臭が立ち込め、やがて近隣の住民からクレームが来たのだった。


そして、程なくして、美咲は彼の男と一緒にブルーシートを部屋から運び出し、先の相模市への死体発見現場へと息するに至ったと言うのが、大まかな事件の内容なのだが・・・、無論、これは犬の死体ではなく、当時男が同時に交際していた成人女性の遺体だったのである!!




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