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第2章 侵食の源流~智博の心に芽生えた野望(4)~

しかし、日々の努力にも拘わらず、智博の実家である「茶舗 伊藤商店」は、なかなか秋川家の牙城を崩せぬままで居た。そして、何よりも智博の心を燻ぶらせていたのは、自分と美咲の家業に対する情熱の違いであった。


幼少時代からの手伝いを経て、智博は茶畑での作業のみならず、自社工場での製茶や父との営業先廻りをこなす他、兄の協力で始めたインターネット通販の対応や店のウェブページの管理をも行なっていた。


その一方で、美咲は大学卒業後に実家に戻ってから、家業の手伝いをし始めた模様であり、逮捕されるまでの間、朝4時起床で、茶畑や花畑で農作業に精を出していたのだと言う。


そこへ、突如として飛び込んで来た美咲逮捕の一報と、それに至るまでの経緯の暴露。


幾ら、早朝から作業をしていた事実があったとは言え、高校を卒業してからすぐに家業に従事していた智博にとって、「たった2年程度のキャリアで、100有余年の家業の歴史を受け継ぎ、果ては結婚して、幸福且つ優雅な日々に浸ろうとするとは何事だ!!」と、思えて仕方が無かったのである。


予てからあまり勉強が出来ない性質だったのも相俟って、智博は更なる進学を望まなかったし、自分も車を所有しているとは言え、それは半分自己負担で手に入れた国産車であり、大抵は、父が所有する農業用トラックに乗ることが多かったのである。


そして、恋愛はおろか、異性との出逢いのチャンスさえも掴めないのが、今の現状で・・・。


つまりは、自分よりも遥かに恵まれた環境で生まれ育った美咲に対して、理不尽なまでの嫉妬心を抱いていたことが、智博のナンバー1への野望の火種となっているのだが、何よりも納得が行かなかったのは、自分は将来の躍進を目指し、時には背広に身を纏ってまでも、徹底した現場主義で毎日頑張っているのに、美咲は親の権力を笠に着る形で、家業もそこそこに「リア充」とも呼べる生活を送っていると言う現実があったことだった!!

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