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孤高

 末村弾希が高月ツミキと出会ったのに、主立った理由は存在しない。

 ただ偶然同じ小学校の同じクラスで、少し話す程度の友達だった。

 名簿順で近かったからとか、班別行動で一緒だったからとか、友達の友達だったからとか、そんな理由だったのだろう。

 そんな二人がある意味決定的に『出会った』のは、お互いをぶつけ合ったのは、小学一年生になって一ヶ月と少しの時だった。

 二人はちょっとした口論から喧嘩をした。

 本来、すぐに誰かが止めに入るものだが、まだグループめいたものもクラスのリーダーもおぼろげな状況に加え、対戦カードが強烈に過ぎた。

 方や運動神経抜群で当時からガタイのよかった末村、方やクラスで飛び抜けて背が高かった高月。

 小学生低学年の喧嘩など、体格差で片が付く。この二人を止める勇気がある者は、そこにいなかった。

 あるいは既に波倉や古式と仲がよければ仲裁してくれただろうが、当時は両者共二人に対して友達と言える関係性を構築していなかった。

 そうした事情の下勃発した喧嘩は意外にも、末村が圧倒していた。というより、高月が手を出せずにいた。単純に誰かを殴るという事が出来ないでいたのだ。

 末村はそんな高月を弱虫と高をくくり、罵声を浴びせた。勝利を確信した獣の咆哮のような、本能に近い行動だった。

 そんな中、末村は失言をしてしまった。詳しい内容はもう覚えていない。ただ、高月の父親を馬鹿にするような内容だったと末村は記憶している。

 その時、高月の目の色が変わる。思いっ切り腹部にめり込んだ拳が、高月のたった一歩に押し返される。

「っんだとぉおおぉおぉぉぉぉぉっ!!!」

 絶叫と同時、高月にぶん殴られたのだと、末村は後で保健室のベッドの上で聞いた。自分がそれでのされたのだとも。そう聞くと頬のガーゼの下が痛んだ。

 以来、末村は高月に一目置きつつも距離を置き、二人はしばらく会話らしい会話をしなかった。

 二人が再び友達となるには、始まりの四人がそろうには、いま一人のある受難を待たねばならない。

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