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ドールズナイツ エクスレイド ~底辺エンジニア、隠しボスご令嬢にロックオンされる~  作者: 阿澄飛鳥
第2章

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第39話 使命なき者

「遅いぞ! なにしてた!」


 俺は倒したゴーレムの近くで立ち止まった【ペルラネラ】に向かって叫ぶ。

 すると、腕輪から否定的な音が聞こえて、不貞腐れたような顔文字が表示された。


『道が混んでた』

「御託はいい! 乗るぞ!」


 言うと、胸のハッチが開き、【ペルラネラ】が手を差し出してくる。

 俺とセレスは素早く【ペルラネラ】の手から騎乗席の中に入り込み、騎体を戦闘状態に移行させた。


「さっさとクラリスを連れて逃げるぞ! こんな場所で戦ってちゃ村が――うおっ!?」


 俺が言いかけた瞬間、後ろから衝撃が来る。


『背部に被弾。損傷軽微』

「やりやがったな!」


 見れば、先ほどと同じ黒いゴーレムが六騎、こちらに砲を向け、突進してきていた。

 クラリスを狙う以上、もう容赦はしていられない。

 すぐさま後ろ肩に懸架しているアンスウェラーを抜き、先頭のゴーレムを叩き切る。


「貴方様! ルーシーたちが!」


 押し寄せるゴーレムを蹴り飛ばしつつ、教会の方を向くと、そこでは【オリフラム】とゴーレムが取っ組み合いをしていた。

 その足元で、クラリスを含む村の住民たちが立ち往生している。


「次から次へと……! 先にクラリスを保護するぞ!」

「構いませんわ!」


 俺たちはブースターを吹かして跳躍した。

 着地点に人がいないことを確認しつつ、教会の傍に降り立ち、ルーシーとやり合っているゴーレムを後ろからバイタルティテクターで貫く。


 背中から胸部にかけて破壊されたゴーレムはそのままの状態で前へと倒れた。

 その衝撃に足元から悲鳴が上がるが、構わず叫ぶ。


「クラリス! この手に乗れ!」

「えっ!?」

「行きなさい! クラリス!」

 

 呼ばれたクラリスは一瞬だけ躊躇するが、神父に叱咤されておずおずと【ペルラネラ】の手に乗った。

 このままゆっくりと村から離れ、王都まで行けばいい。


 しかし、このゴーレムはさっき倒したゴーレムとは形が違う。まさか別の――。


 そう考えた矢先に、俺は聞き覚えのある風を切るような音を聞いた。


「来ますわ!」

「ちっ!」


 先に反応したセレスに引っ張られて、俺は舌打ちをしながら【ペルラネラ】を屈ませる。

 瞬間、夜の空に白い閃光が奔って、【ペルラネラ】の頭部を掠めた。


 同時に、ブースターを吹かす音が聞こえる。


 可能ならば跳躍してその場を離れたいところを、クラリスを手に乗せた状態ではそれはできない。

 

 

 その隙を突かれた。


 

 いつの間にかに接近していた白い騎体の剣により、【ペルラネラ】の手首が断ち切られていた。

 手に乗っていたクラリスが落ちる。


「きゃああっ!」

「クラリス!」

 

 右手のアンスウェラーを手放してキャッチしようとするが、その前に白い手が伸ばされてクラリスを掴んだ。


『あはっ! お宝げっとー!』


 近くを駆け抜けたのは白い騎体――【ベネフィゼーザ】だった。


「リースか!」

『え、リース!?』


 俺の声に、【オリフラム】に乗るルーシーが反応する。

 クラリスを手の中に握った【ベネフィゼーザ】はこちらに手を振ってきた。

 

『せいかーい! んじゃ、この子はあたしがもらうから! ばいばーい!』

「させるかよ!」


 周囲を飛翔する子機――エイプからの射撃を避けつつ、【ベネフィゼーザ】を追おうとするが、その前に二騎の影が立つ。

 ドールだ。どちらも白を基調した衣装を着ていて、同じ長剣を構えていた。


『あとは我々にお任せを。聖母様』

『聖母!? どういうこと!? リース!』

『うるさいわね! あたしを捨てたあんたには関係ないでしょ!』


 言うや否や、【ベネフィゼーザ】はブースターを吹かしてその場を去ろうとする。

 

「てめぇ、待ちやがれ!」

『我々が相手をするといったであろう!』


 こちらもブースターを吹かすが、目の前に配下のドールが迫ってきた。

 

 真上から振り下ろされた長剣を、【ペルラネラ】はバイタルティテクターを交差させて受け止める。

 刃が触れ合う場所で眩い火花が散って、相手のドールの無機質な顔が照らされた。


 そこに二騎目のドールが突っ込んでくる。


「鬱陶しいですわッ!」


 【ペルラネラ】は正面のドールに前蹴りをかまして吹っ飛ばすと、迫る二騎目のドールを待ち構えた。

 アンスウェラーを回収している暇はない。


 そのままバイタルティテクターで相手をしようとしたが。


『であぁぁっ!』


 横から来た【オリフラム】が両手の剣で二騎目のドールに斬りかかった。


「ルーシー! そいつをやれるな!」

『な、なんとかします!』

 

 俺はその隙にアンスウェラーを回収して構える。

 吹っ飛ばした一騎目は早くも体勢を立て直して斬りかかってくるところだった。


『使命無き者に私たちは負けん!』

「うふふっ、なんて浅ましい思い込みなんですの?」


 【ペルラネラ】は全身のブースターを起動して敵のドールに突っ込む。

 一瞬だけ鍔迫り合いが生じるが、空いている左腕のバイタルティテクターで敵の右肩を突き刺した。


「使命があれば負けないというのなら、どうぞこちらで死んで頂いて結構ですわ! 時間はもうお稼ぎになったでしょう?」

『ぐぬっ……!』


 刺さったバイタルティテクターをそのままに、俺たちはアンスウェラーの刃を滑らせる。

 そうして敵の脇に【ペルラネラ】の肩をねじ込ませ、足を蹴って背負い投げをかました。


『ぐあああぁぁッ!』


 地面に叩きつけられたドールから騎士の悲鳴が上がる。

 そんな中、アンスウェラーを手放して、敵のドールの顔面を踏みつけた。


 バキャッと音がして何かが砕ける。

 俺たちは構わずバイタルティテクターで突き刺した方の腕を力の限り引っ張った。


「「はあぁぁぁぁッ!」」


 脳内に流れ込むセレスの殺意で頬が吊り上がる中、俺たちはレバーを思い切り退く。

 激しい閃光と魔力の粒子が飛び散って、敵のドールの腕を【ペルラネラ】は引き千切った。

 次は騎乗席を――騎士をやる。右腕のバイタルティテクターを起動させて、俺たちは胸部を殴り潰そうとした。


 しかし――。


『アレスッ! トリッシュッ!』


 ――横合いから来た二騎目のドールの突進でそれは阻まれる。


 ルーシーのやつ、なにしてんだ……! 動きが悪いぞ!


「ちぃぃぃッ!」


 捨て身の突進に押されるのを全ブースターで制動をかけ、俺たちは揉み合う中でバイタルティテクターを射出させた。

 それは敵の右腕の付け根に刺さり、派手な火花を散らす。


「いい加減にッ――!」

「してくださいませ!」


 そのまま右腕を振り上げると、敵の腕は切断され、遠くの森に落ちていった。

 だが構わず、敵のドールはブースターを吹かして距離を取る。

 

『潮時だ! アレス!』

『……致し方あるまい! 悪女め! 貴様は我々の腕を斬った! 我々の腕を! 覚えておけ!』

 

 そう言い残して、二騎のドールは後退していった。

 

 追撃をしようと思ったが、アンスウェラーは【ペルラネラ】の手の中にない。

 ヤケクソで手首のマシンガンをお見舞いしてやろうと思ったが、それはできなかった。


「グレンさん! これ以上は村が……!」


 眼下を見れば村には火の手が上がっていて、ところどころの家は崩れている。

 撃てば魔力弾を射出する際の火花だけでも木製の家は燃えてしまう。ドールでの戦闘の衝撃は簡素な家などそれだけで崩してしまうのだ。

 

「くそっ!」


 俺は苛立ちにコンソールを叩く。

 

 奴らも追われたとて、真っ直ぐに【ベネフィゼーザ】の後に続きはしないだろう。

 追いかけっこの末に敵が待ち構えているのが関の山だ。

 

 今から時間稼ぎのドールを追撃したところで、クラリスを取り返すことはできない。

 

 完全にしてやられた。大失態だ。


「これは私たちの負け、ということになりますわね」


 セレスも悔しさを滲ませる。

 だが、浸っている場合ではない。


 俺たちは周囲に敵がいないのを確認してから、燃える家を崩して消化活動を行うのだった。

ここまで読んで頂きありがとうございます!

いかがでしたでしょうか?


「面白い!」「続きが読みたい!」


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いつも皆さまに応援頂いているおかげで、

作者は執筆活動を続けることができています!


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