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復讐と執着

そこは、闇の中。


大きな木から、ぶら下がっているのは、見た事のある青年だった。


「ちょっと、待って!これは・・・」


颯太は、邪神の顔を見た。


晴の顔ではなく、顔の半分は、冷たい能面の様な邪神の顔を。


「だって・・」


封雲は、自分達の前から去った筈。


音羽の姉、砂羽との戦いで、颯太の守護だった、数珠を断ち切り、


逃げ去った筈。


なのに。


「・・・どうしてか?って顔だな」


邪神は、首をすくめた。


「僕が、どんな奴か、君は、十分、知っていると思っていたけどね」


鼻の下を擦りながら、笑う。


「君らが、時間をかけて、やっていた事は、僕にとって容易いと言う事だよ」


邪神は、木の下に近寄り、その青年の顔を、こちらに向けた。


「間違いないかな」


「え?」


上に向けられた顔は、確かに封雲のものだった。


「どうして・・・こんな」


「だから・・・容易いって」


黙って、封雲を捕まえていた事に腹が立っていた。


一緒に、山寺に起きた事件を調べに来ているのだと思っていた。


自分の身に起きた不幸な出来事に、同情しての行動だと。


だけど。


邪神にとっては、暇つぶしになる、


ゲームみたいな物だったんだ。


逃げた封雲を捕まえるなんて、


邪神の能力を持ってすれば容易い事なんた。


「おいおい・・・へそ、曲げるなよ」


狐の尻尾を膨らませて怒る颯太の姿がおかしかった。


「どうして・・・・そうなのか、聞いてみるか?」


邪神は、封雲の前で、指を弾いた。


「パチン」


同時に、封雲が、目を覚ました。


「さっき、聞いた話をもう一度、言えるか?」


「え・・と」


目覚めた封雲は、何が起きたのか、理解できないようだった。


「言えよ・・・」


「あぁ・・・あの」


あの封雲も、邪神が目の前に迫ると、平静でいられない様子だった。


「あの・・・!」


颯太に話すまいか、悩んでいるように見えた。


「数珠の効力とは、なんだ。魔除けとかでは、ないだろう?」


「それは・・・師匠が」


「師匠が?数珠の秘密を聞きたいんだぞ」


「だから・・・それは、師匠が颯太に!はぁ!」


突然、封雲は、悲鳴を挙げると、項垂れてしまった。


「なんだ?」


みると、封雲の首筋に深々と、細い針が刺さっている。


「嘘だろう!」


颯太は、慌てて、駆け寄る。


状況を見た邪神が、その針の飛んできた方向を見て、飛び出していった。

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