人と妖の境界線
「兄さん!」
叫ぶ少女の声に反応したのは、高校生位の青年だった。
「ちっ!人間かよ」
邪神は舌打ちすると車を降りた。
隙をみて、少女は、車から逃げ出す。
「どう見ても、俺らが、化け物だな」
邪神は、呟く。
車には、変化した颯太。
そして、現在は、姿を表していないが音羽が、宙の間を行ったりきたりしている。
側から見たら、
人間が、化け物一団を退治に来ている。
そんな構図だろう。
少し、前まで、逆の立場だったよな。
邪神は、颯太の顔を見下ろした。
「いつ、立場が変わるのか、恐ろしいものだ」
自分だって、人間に追われていた。
だから、
あんな暗い倉の中に閉じ籠っていた。
「お前ら、何をする気だ」
弓矢を背負った少年は、車にたちはだかる。
「ちょっと、待ってくれよ」
邪神は両手を上げた。
「自分達は、寺の関係者で・・」
そこまで言った瞬間、邪神の頬を何かが、掠った。
弓矢だ。
「嘘だろう・・」
身体は、晴なので、一筋の血が流れる。
「寺の関係者って言ったな」
引かれた弓は、まっすぐに自分に向かっている。
「言ったよ。関係あれば、悪なのか?」
颯太が、思わず、車から顔を出す。
「ばか!お前!」
姿を出すなって。
邪神は、首を振る。
「あの寺は、多くの化け物を育てていた。だから、襲われたんだ」
「襲われた・・・?誰に?」
弓矢を向けた少年が、微かに笑う。
「まさか・・・」
「そうだよ・・・僕らだよ」
颯太の顔色が変わる。
「なんでだよ!」
「そりゃぁ!化け物だから」
「違う。化け物なんかじゃない!」
颯太の後ろから、次第に膨らんでくるのは、白く大きな尻尾だった。
これを見られたら、また、面倒な事になる。
「おい!人間。我々が、人間でないって、証拠はあるのか?急に襲われて迷惑しているんだ」
「教えてくれた奴がいるんだよ」
弓は、的を定めて、撃ち放すつもりだ。
邪神は、目で、追いながら、考えていた。
ここで、本当の姿を曝け出すべきか。
「誰が、教えた?」
脳裏に1人の名前が浮かぶ。
まさかと思いながら。
寺で、育ちながら、そんな事をする訳がない。
そう思いたかった。
「そうだな・・・風雲って言ったかな」
颯太は、息を呑んだ。
「俺達と同じ、除霊師でもある」
颯太の感情が爆発した。




