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忘れえぬ仲間の面影

忘れられない記憶がそれぞれにある。


晴の家にある土蔵。


自分の記憶は、何処からなのか。


「この地を守るのが、お前の役目だ」


そこは、確か。


カビ臭く、暗い一角。


西陽の当たる座敷牢。


僕は、そこで夢見ていた。


傾く太陽の向こうにある世界。


乾いた世界にある、もう一つの世界を。


そこが本当の僕の世界なんだ。


そう言い聞かせて耐えていた。


あの部屋。


僕は、どこから来て、どこに行くのか。


人なのか。


人でないのか。


遠すぎて、曖昧なんだ。


邪神は、颯太の顔を見た。


自分は、本当の名前を知らない。


「邪神」


そうとしか呼ばれない。


「晴」


皮肉なものだ。


自分の分身に付けられた名前が、


「晴」


だと。


名前は、呪であると。


誰かが言った。


まさしく、その通りだ。


「女・・・名前は、なんと言う?」


邪神は聞いた。


「五茂 三冬」


「漢字で」


邪神が喰い付いたので、颯太は、驚いて顔を見た。


「確認しないとな。名前は、呪だからな」


「誰が、そんな事を・・ねぇ、君。ありそうで、変わった名前なんだけど、漢字でどう書くの?」


「名前?」


「そう」


少女は、少し、ためらった。


「大事な事なんだ。名前から、読み取らないとな」


「ケケケ・・・。邪神も親父めいている」


「うるさい」


「こんな変な地で、出逢うんだから、警戒しないとな」


「まぁ・・・確かに」


颯太は、真顔になった。


「ごめんな。少し、変な事があって、ピリピリしているんだ。名前、教えてくれないか」



「三つの冬。で、みふゆ」


「みふゆ・・・華。ふ・・・ん」


邪神は、名前を飲み込んだ。


「そして、助けてほしいと言った訳は?」


「みんな、死んでしまった。誰もおらん。」


「誰も、おらん?村の人達がいるではないか」


誰も、いないと言う割には、人の気配はする。


邪神は、鼻を歪めた。


「誰が死んだ?」


「寺の仲間」


少女は、颯太の顔を見上げた。


「寺の仲間が、みんな、殺された。助けてくれないのか?」


「寺の仲間?」


颯太の顔色が変わった。


「・・・という事は君も?」


少女に伸ばす手を邪神は払った。


「甘いな!」


微かに少女が笑ったかに見えた。


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