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憎しみの果て

どうして、いつも、颯太だけが、大事にされるのだろう。

封雲は、そう思っていた。

自分と颯太は、あまり年齢が変わらない。

能力だって、そう、変わらない。

なのに、寺のみんなは、颯太を気に掛けていた。

颯太は、父親に連れられて来た。

初めて、踏み入れた寺で、寂しさからか、毎晩、泣いていた。

連れてきた父親が、顔を出す事はなかった。

この寺は、そういう訳ありの子供が多かったから、颯太も捨てられたと思っていた。

自分も、捨てられた。

母親から、道端に置き去りにされた。

親に捨てられた者同士。

中には、寺に預けられた者もおり、年末年始やお盆など、自宅に帰省出来たが、颯太と自分は、帰る家がなかった。

二人とも愛情を知らなかった。

同じだと思っていたのに、みんな、颯太に注目していた。

あの時から、抱えた憎しみ。嫉妬。

だけど、寺の師匠達が、颯太を目にかけていた訳でない事を、ようやく、封雲は知った。

颯太を気にかけていたのではなく

颯太を恐れていたのだ。

師匠達が恐れていた颯太は、何者なのか?

師匠達は、数珠で、颯太を押さえ込もうとしていた。

となると、つまらない嫉妬から、

颯太を解放したのは、自分という事になる。

「あいつは、一体何者なのか?音羽と縁があるのか?」

「まだ、若いお前は、知らないだろう」

「若い?若くないのか?颯太は」

「颯太と言ったな。人は、そう呼ぶのか」

砂羽は、そう遠い目をしていた。

颯太は、人ではない。

なら、あの邪神と同じ類なのか。

自分は、颯太に勝てるのか。

足元に、輝く小石があった。

よく見ると、飛び散った颯太の数珠の一つだった。

「これは・・・」

師匠達が、颯太を押さえ込むのに使った宝珠の一つ。

だとしたら、霊力がこもっている筈。

これから先、颯太をやり合う時が来るだろう。

この世界にいる限り、

颯太と争う日は、必ず、来る。

封雲は、その数珠の一つを手に取った。

山寺が、襲われた理由。

「あの者の正体と関係しているかもしれんな」

砂羽は言った。

「甘く、見るなよ。助けに入った邪神も、あの者も、お前の手には、負えない」

「だったら、助けてくれるか?」

「考えておこう。山寺へは、急いだほうがいい」

「何かあるのか?」

「まだ、始まりにすぎないからな」

封雲は、砂羽を説得し、山寺に向かう事にしていた。

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