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絡み合う糸

記憶を辿るのは、難しい。

この記憶を紐解いていいのか。

邪神は、悩んだ。

自分らしくもなく。

好奇心もあった。

人の心の迷いを除くのも楽しい。

代々、閉じ込められた自分。

人間に管理され、古臭い蔵の中に居た。

出られるのは、その家の長子が、男性のみ。

取り憑き、その命が尽きるまで、繰り返す。

颯太も、同じではないか?

颯太にも、自分と同じ闇の匂いがする。

何とか、人間の皮をかぶって保とうとしているが、こいつは、本当の化け物だ。

正体を暴いた方がいいか。

この世で、何も知らず、除霊師として、生きていった方がいいのか。

それとも、すべての恩讐を忘れた怨霊とかした音羽の姉、砂羽に報いるべきか。

「所詮、他人事よ」

邪神は、腹の中で、笑った。

全て、暴き出してやる。

そして、苦しめ。

「私の手をとるがいい」

邪神は、言った。

「本当にそれでいいの?」

邪神の中で、晴が声を上げた。

「壊れてしまう」

邪神の意識に覆い被さってくる。

「ええい!邪魔するな」

邪神の意識を、邪魔する。

「思い出さない方が、幸せな事もある」

晴の意識は、強い。

教師の本能なのか。

「過去の傷を抉る事が解決には、ならない」

「お前達が、儂を縛るのは、どうなんだ」

「だからこそだ」

晴の意識が、邪神の中で、爆発した。

音羽の手を取ろうとしていた、邪神が、突然、倒れてしまった。

「えぇ?」

音羽は、一瞬で、邪神の意識が、消えてしまった事に気づいた。

「晴?先生?」

「あぁ・・・そう、みたいだ」

戻ってきた晴は、頭を振った。

「ようやく、僕にも、何が起きているのか、理解できたよ」

そう言うと、側に倒れている颯太の、顔を見下ろした。

「こんな事、あるんだな」

両手で、颯太の頬に触れると声を掛けた。

「逃げるな。颯太。戻ってこい」

颯太の顔が、いつもの様に、戻るように、声を何度も掛け続けるのだった。

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