親友の嫉妬と裏切り
空から、溢れる光の雨に、砂羽は、視界を奪われていた。
「くう・・・」
せっかく追い詰めたのに、逃げられてしまった。
「あの、小僧は、退治しなくては、ならない」
音羽を守る。
彼女に新しい人生を授けたい。
なのに、邪魔するのは、誰だ。
「結局、失敗したね」
封雲は、視界が開けると、砂羽に言った。
「もっと、うまく、やらないと」
「お前か・・」
砂羽は、ようやく気が付いた。
2、3日前に、使い魔が、届けた伝書。
砂羽が、読み上げると、札に書かれた文字は、一瞬で消えてなくなった。
「お前は、あの者の何なのだ?友人ではないのか?」
「友人?そうだね。それもある」
封雲は、笑った。
「あの者を助けようとしたではないか?」
「助ける?味方とか、敵とかではない。僕は、彼が何者なのか、知りたいから。
」
「ほう・・・。人間とは、厄介な生き物だったな。忘れておった。」
砂羽は、気づいた。
「お前を動かしているのは、嫉妬か」
「嫉妬?僕が?」
封雲は、声高く笑う。
「颯太に嫉妬する訳がない。師匠達の見る目がなかった事を実証したいだけだ」
「それを、嫉妬と言う」
砂羽は、剣を鞘に収めた。
「邪神が出てきた。どうして、邪神があいつを庇うのだ」
「ただの気まぐれだろう」
封雲は、札を取り出すと、指先で、何やら、文字を書き出した。
「何をする?」
「あなた達から見たら、つまんない人間でも、できる事はあるってね」
文字をかかれた札は、宙に浮かぶと、一瞬で、書かれた文字が、燃え上がる。
紅い灰となり、西の空に向かって、伸びて行く。
「あなたが、追いかけたいのなら、西の方向、あの紅い灰についていけばいい」
「お前は・・・」
砂羽は、訝しんだ。
「何がしたい?」
「僕が、一番だって事を証明したい」
「ふん・・・つまらない奴。」
封雲の考えは、計り知れない。
空に記す紅い灰を見ながら、砂羽は、封雲の横顔を見ていた。
こいつ、なかなか、使えるかもしれない。
音羽とあの少年を引き離す事が優先だ。
「私が、あの者を亡くしてやろう。そしたら、お前は、私に何をくれる?」
「そうしたら、何でも、好きな物をあげましょう」
「そうか・・・」
封雲の瞳の奥が、冷たく光っている。
目的の為なら、自分の故郷を焼き払う位、容易い男だ。
約束など、守れる筈がない。
「僕を一番にしてくれたらね・・・」
封雲は、砂羽を利用する事にしていた。




