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水面を叩き上げる蛟の頭上に。

水面に浮かびあがった蛟

その頭上に、立ち上がる姿を見て、颯太は、息を呑んだ。

「音羽!」

まさか。

音羽が、蛟の上にいるなんて、ありえない。

彼女は、宙の移動が可能なのだ。

蛟の頭を踏み締め、立ち上がる姿は、よく似ては、いるが、全くの別人だった。

「お前か!」

蛟の上で、叫ぶのは、同じ顔を持つ少女だった。

「お前が、全てを変えてしまった!」

少女は、蛟が頭を振ると、地上に降り立った。

行く手を塞がれて、僕と封雲は、顔見合わせた。

「誰だ?」

「わからない。封雲。僕を襲わせようと、ここに連れて来たのでは?」

「いや・・・蛟は、用意していない」

「・・・て?」

「あの蛟、。厄介だぞ。騙されてダムに沈んだ、村人達の迷った魂だ」

逃げながら、封雲は、慣れた手つきで、札を書き上げる。

「こんなセコイ方法じゃ駄目なんだ」

「一体、何なら、いいんだよ」

「お前の数珠だ!」

「だからって、これは」

また、同じ口争いだ。

封雲は、どうしても、僕の数珠を手に入れたいらしい。

簡単に渡せるものか。

僕にとって、これは、師匠の忘れ形見だ。

僕らの行手を、塞ぐ様に、降り立った少女は、僕の方を真っす具に、見つめていた。

「何だよ・・・お前に、恨みでもあるんじゃないか」

憎らしい口調で、封雲は、言いながら、背後から、飛びかかる青白い炎に、札を叩きつけた。

蛟を形成しているのは、恨んで亡くなった人達の魂だ。

「なんか・・・嫌な気分だ」

札を叩きつけられた魂は、ゾッとする悲鳴を上げて、消えていく。

まるで、生身の人間を殺した様な、叫び声だった。

「気分悪い」

封雲は、ペッと唾を吐いた。

「予定とは、違うけどな」

そう言うと、封雲は、口笛を鳴らした。

空気が震え、さっきまで、僕を襲おうとしていた獣達の目が、金色に光った。

「いいか・・・俺の言う事を聞け」

口の中で、短い呪文を唱えると、金色に光る獣達は、症状に向かって消えていく。

「キャウ!」

短い悲鳴が上がり、中には、慌てて、戻ってく獣達が居た。

「何なんだ・・・あいつは」

蛟に頭から降り立った少女は、細長い。

そう、あれは、日本刀をかざしていた。

「ここで、因縁は、断ち切ってもらうよ」

「因縁って、誰?」

封雲は、颯太の顔を見た。

「右手首に数珠。颯太は、お前だな」

少女は、日本刀を頭上に振り上げた。

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