故郷が燃えたのは、挑戦なのか
寺が焼けた。
突然、知らせに来た封雲。
今まで、なかなか逢いにこなかったのに、突然、現れた。
晴先生を送り届けた帰り道。
「俺達、親友だよな」
いつも、そう言ってくれた封雲。
小さくて、汚かった僕は、よく虐められていた。
音羽が来るまで。
僕にとって、あの寺も山も。
僕の家である事に間違いはなかった。
だって、他に、僕の家はなかったから。
「何が、起きたの?」
僕は、帰り道、出会った封雲に聞いた。
「復讐だろうって。」
「それは、誰が言ったの」
「小姓の黄さん」
寺には、何人か、小間使が住み込みでいた。
「虫の息だったけど。」
「あの・・・僧侶の・・」
僕が聞きたい事を察して、封雲は、目を伏せて、首を振った。
「炎の中に現れたって。」
「何が、炎の中に現れたの?」
「鬼だよ・・・首のない鬼が現れた」
「首のない鬼?」
どこかで、聞いた伝説だが、どうして、あの場所に寺があり、音羽が封印された岩があるのか、全て、繋がる理由がある。
「鬼が、炎の中に立っていた。首を探してね。」
「そして?」
僕を可愛がってくれた、あの数珠の持ち主の大僧侶の宝鑑さんは。
「消えた・・・真っ黒になって」
「嘘だ」
「嘘じゃない。死んでいく黄さんが、嘘を言うか」
「だったら、間違いだ」
「そうじゃない。颯太。認めろよ」
「消える訳ない。理由があって、何処かで、隠れているだけだ」
「・・・かもしれない。けど」
「山は・・・無くなったんだ」
僕は認めたくない。
音羽も消えて、山が無くなったなんて。
それを、わざわざ、知らせにくる封雲も、嘘くさかった。
「なんで、急に現れたんだよ」
「ずっと、逢いたかったんだ。側に、女の幽霊は、いるし・・・あいつ?変な鬼もいるだろう?」
「晴先生か?」
「晴先生と言うのか?邪神が憑いている」
「見えるのか?」
「お前と同じ」
封雲は、邪神の事も知っていた。
「今は、覚醒していないか?」
「制御できている」
ふうんと封雲は、鼻を鳴らした。
「面白い。どっちみち、寺に行きたいだろう?」
そんなの、当たり前だ。一人でも、寺の現状を見に行きたい。
「なら・・・あいつを連れて行こうぜ」
「晴を?」
「目には目を。鬼には、鬼を」
晴を護身に、使うつもりだ。




