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邪神からの疑問

「閉じ込める気か」

音羽は、舌を鳴らした。

見上げると、邪神が薄く笑いながら、こちらを見下ろしている。

「今度は、こっちを試す気か」

「同じ事を音羽がやったからでしょ」

「それを言うか?」

「うう」

百鬼は、キリが無い。

現世界と同じ異性界。

砂の海とは、違う。

ここに、陥れたのには、理由がある筈。

「そんなに、その世界に行きたいか?」

邪神は、そう言った。

「母親に逢いたいか?」

そう聞いた。

だとすれば。

「音羽。探すんだ」

「何を?」

勢い余って、音羽の首が、伸びる。

「母さんを・・・」

「はぁ?何言ってる?」

「あいつは、言った。母さんに逢いたいかって。」

「ばかな。騙されるな。あいつの言う事を信じては、ダメだ」

音羽は、僕に気を取られ、大きな百鬼に、飲み込まれそうになる。

「人を惑わすのが、あいつの本分だ。いいか、気を取られるな」

半分だけ、顔を出して叫ぶ。

「お前の母親は、ここにはいない!」

「だって、血の臭いがするって」

遠くで、邪神が、

「ほら・・・」

と、小さく呟いた気がした。

その瞬間、マンションの入り口が、見え、音羽が、僕の手を取って、転がり込んだ。

「どういう事?」

頭から、倒れ込んだが、痛みを堪え、僕は、音羽に聞いた。

「何か知っているの?そんな筈は、ないよね。音羽。君が、僕と逢ったのは、ずっと、その後だし・・」

音羽は、黙って、僕を抱き起こした。

「颯太。上に行こう」

「音羽。僕は、聞いているんだ。答えて」

一度、開いたマンションの入り口は、再び、閉じて、百鬼は、僕達を探して、君の悪い唸り声をあげ始めていた。

「上に、どうやって行くの」

「いつも、通りに」

このマンションの中は、いつもの通りなんだ。

僕は、暗証番号と部屋番号を入れる。

「どうして、こんな?」

「邪神に聞け」

音羽は、機嫌が悪かった。

きっと、顔を見るなり、金鎖を引くに決まっている。

「やっと、本当の事に気づいたな」

エレベーターが、開くと、その真ん前に、邪神が立っていた。

「お前!」

案の定、殴りかかる音羽を、僕は、押さえて、代わりに、邪神に掴みかかった。

「何を知っているんだ!」

「知っているわけではないですが。推理しただけだ」

「推理?」

「そこにいるのが、一番、疑わしいと思った事はないのか?」

邪神の黒くて長い爪は、音羽を指していた。

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