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僕を止めて

突然、現れた音羽は、何を言っているんだ。

あの日、突然、現れて、僕を異空間に放り込んだお陰で、僕は、こんな目にあって居るんだ。

僕は、文句を言おうとした。

「お前が・・」

言おうとして、気がついた、どうも、僕の声ではない。

そして、僕の前に、現れた音羽が、小さく見えている。

「すっかり、正体を現したな」

僕を見上げる音羽。

「何を言っているんだ?音羽」

「私の名前を思い出したようだな」

「え?」

僕は、口を押さえようとして、初めて、両手を見下ろした。

「どうだ?気が付いたか?」

「嘘だ・・」

どういう事だ。僕の両手は、血で濡れていた。これは、僕の血なのか?

「そんな驚いた顔をするなって」

音羽h、笑った。

「そんな小さい奴ではないだろう?」

両手が、真っ赤に染まっている事よりも、僕が、驚いたのは、その両手の長い爪だった。

「これは?何が、どうなってんだ?音羽。僕は、化け物になってしまうのか?」

「何を言っているのか?正体と言ったろう」

正体とは。僕は、ただのしがない、教師で、霊の類は、全く苦手で。

「自分の姿を見たら、気を失ってしまうな」

音羽は、そこに腰を抜かしている婆さん達に声を掛けた。

「お前達」

「は・・い」

突然、宙に現れた霊に、お婆さんと姉妹は、驚いている様だった。

「何に、見えるか、教えてあげなさい」

音羽は、お婆さんの頭を持ち上げた。

「お前達が、殺そうと思った若者は、今、どんな姿をしている」

髪を音羽に引っ張られ、苦悶に顔を歪める。後から、追いついた姉妹は、そこに立つ僕の姿を驚いていた様だった。

「まさか・・・そんな、本当に、すみません」

お婆さんは、血まみれになりながら、頭を下げた。

「まさか・・・この地に現れるなんて・・・」

「今まで、観光客を襲っていたのは、お前達だったな。狩は、止めるように言われたのでは、なかったか?」

「はい。でも、どうしても腹が空いて・・」

姉妹は、音羽が、お婆さんの頭を掴んで、宙に吊るす物だから、先ほどの勢いは、何処に行ったのか、ブルブルと震えていた。

「可愛い。娘達を、修行に出したのに、親が、こんなではね」

音羽の髪が、伸び、姉妹の首を絡みとる。

「お前達、何を見ているんだい。どこで、修行しているんだい」

「私達は、あの・・・あぁ。邪神様」

姉妹の一人が、僕を見上げて、泣いていた。

「気づきませんでした。まさか、この世界に、現れるなんて」

僕が、邪神?って。両手の爪は、長く黒い。慌てて、頭に触れると、耳の上には、太くて長い角が、生えていた。

「音羽。一体、これは?」

僕には、何が起きたのか、理解できなかった。記憶だけが、すっぽ抜けていて。異形の姿の中に、僕の心だけが、宿っているようだった。

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