僕の足元にひれ伏せよ
浅はかだった。
晴は、後悔した。
だって、あんな所で、老婆が一人でいる訳がない。イタコだって?
僕は、石を枕に寝ていた。
あの砂漠の海から一転して、霊場で、横になっているなんて、不自然だろう。
「僕が、初めてでないって?」
双子の少女は、今にも、僕に飛びかかりそうで、気を失いそうだ。
「どういう事ですか?観光客は、たくさん来るからですか?」
声が震えていた。この老婆は、ただのイタコ。そう思い込みたかった。
「どうも、あちらとこちらが、繋がっているようで。時折、ハゲタカの食べ残しのような奴が現れるのよ」
双子の少女は、長い舌を、ペロリと出した。この光景、どこかで、見た事がある。
「彼方って?」
僕は、知っていたが、確認したかった。
「砂の砂漠だよ。そこに閉じ込められたんだろう?」
老婆は、顔を歪めて笑った。
「あそこから、帰った者は、1週間と生きられん。ここで、ゆっくりしているがいい」
僕は、息を呑んだ。
「生きられないって?」
「邪神様に遭ったんだろう?魂を抜かれているから、抜け殻となって、過ごすだけじゃよ」
「抜け殻って。もう、生きられないって」
なんて、怖い老婆だ。家にいるばあちゃんの怖さと比べたら、こちらは、陰湿な怖さがある。
今になって、うちのばあちゃんが可愛く思えるなんて。
「抜け殻になったら、どうなるの」
もはや、僕は、立っていられない。
「そうね。可哀想だから、遊んであげようか?」
「鬼ごっこするのもいいわね」
双子が、変わるがわる僕の、首に絡みつく。
「どう?森の中で、鬼ごっこするの」
「いっぱい、怖がってほしい」
双子は、僕の両手を引っ張って、裏山に歩き出した。
「早く、逃げてね」
「すぐ、追いつくから」
僕は、一目散に逃げ出した。
双子は、変な声をあげながら、十から逆に、カウントし出した。
ゼロになったら、追いかけてくるつもりだ。
「狩だ」
老婆は、叫んだ。
僕を、獲物にするつもりだ。
「嘘だ」
僕は、必死で、走り出した。




