表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/104

笑う二人の少女

どこまでも続く、砂漠は夜空を映し出し、見た事のない美しさを見せていた。満点の星空は、遠い日に見た記憶を呼び覚ます。

「あぁ・・・そうだった」

晴は、呟いた。自分という存在が誰なのか、わからなかった。晴と言う名前は、本当に自分の名前なのか。借り物の気すらする。先ほど、もう一人の自分と体が重なった気がする。錯覚ではない。自分の中に、ようやく、自分が戻ってきた。そんな気がする。

「ねぇ、累。生きてるみたいよ」

抱き合ったままの形の双子の片割れが話す。

「ここに来たのに、まだ、生きてるよ。愛」

「誰なんだろう」

「誰だろうね。人間かな」

「人間は、来れないよ。むかーし、一人だけ来たきりだよ」

「結局、死んだ」

「そうそう。死んだ」

晴は、互いに、呼吸するように話す古木の双子が気になった。

「あの・・・」

晴は、思い切って、声を掛けてみた。

「君らは、人間なの?」

「そんな訳ないじゃん。穢らわしい」

片方の銀髪の少女が、頬を膨らました。

「ここに、人間が居れる訳ないじゃん」

「だって・・・僕は?」

晴は、自分を指さした。

「もしかして。僕は?死んだの?」

双子は、顔を合わせる。

「死んだのか?」

「死んだ?」

晴は、頭が重くなってきた気がして、俯いた。自分は、この知らない地で、命を費やしてしまったのだろうか?あの黒い雲と一緒に、この世界に送られて、魂は、消滅したのか?今までの、穏やかな生活は、どこに消えてしまったのか。もう、家族には、逢えないのか。そう思うと腹が立ってきた。お腹に抱えている小さな怒りの炎が次第に大きくなってくる。

「なんか、空気が変わった」

金髪の片割れが呟く。

「おかしいよ」

体の中に怒りが満ちてくる。どす黒く渦巻いた怒りが、体の中央から、末端に流れていく。自分は、もう、あの穏やかな世界に戻れないのか。怒りが満ち、体の端々に道合われる。

それは、髪の毛を逆立たせ、爪先を鋭く尖らせる。

「愛!大変だよ!」

「累!大変だよ」

双子の前には、山羊の様な長い巻つのを頭にした邪神が、立ち塞がっていた。満点の星空を背に、双子を見下ろす姿は、そら恐ろしく、見る者をゾッとさせるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ