表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/104

鏡の向こうの僕

辺りは、もう、夜中ではなく、うっすらと陽が登り始めていた。静かな街中に、少しずつ、人の気配が戻りつつある。踏切の脇では、行き交う人々の数が、少しずつ、増え始め、地面に座り込む颯太の様子を不思議そうに、見下ろしていた。ただ、地面に座り込むだけではなく、宙に向かい、ぶつぶつ呟く颯太の姿は、ただの怪しい人にしか見えなかった。

「一体、どういう事なんだ」

颯太とぶつかった瞬間、晴は、弾き飛ばされ、別の空間に消えていった。あの「混沌」

闇と一緒に。

「あれは、魂の集まりだよ。颯太。ただの魂ではない。苦しんで亡くなった。この世に未練や恨みを持った念が集まったものだ。君には、まだ、修行が足りない。対峙できない」

音羽は、厳しい顔をして颯太の前にいた。

「だとしても、全くの素人だろう。あの先生は。少しばかり、霊力があるから、誘おうと言ったのは、音羽じゃないか?」

「少しばかり・・・って、あたしは、言ったか?」

「言った」

ふむ。音羽は、首を傾げて笑った。

「そうかなとは、思ったが、とんでもないのを見つけた」

「とんでもない?」

「お前より、全然、力は、上だな。なんでか、わからん。同じ能力同士をぶつけ合うと、弾け合う。より能力のある者が、奴と対峙する事になる」

「じゃ・・・晴は、どこに?」

「混沌に、連れ去られたと、考えたが、そうではなさそうだ」

宙を見上げ、会話する少年を誰もが、不思議そうに見つめ、通り過ぎていく。

「混沌は、連れて行かれたのさ。もちろん、晴の世界にね」

「晴?あの先生の世界に?」

「とんでもない者を見つけた者だよ。だから・・・古典の先生か」

嬉しそうに音羽は、笑う。

「ますます、楽しくなりそうだな。この世界」

「どう言う事だよ?」

「颯太。お前の運命が決まった。生贄だよ。お前は」

音羽の、口が、耳元まで、裂ける。中から、長い牙の間を行き来する舌が見え隠れする。

「楽しみだなぁ。あたしの待った世界になる」

「何が起きるんだよ」

当惑する颯太の前に、音羽は、突然、ハッとして

「おっと!颯太。今日は、授業があったな。さぁさぁ、学校に行く準備だ。現世の生活も大事だからな」

「晴先生は?」

「さぁ?生きていれば、帰ってくるさ」

音羽は、突然、視界から、消え去ったのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ