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私は子供の頃、どんな子だったろう? …あまり思い出せない。自分の事を思い出すのは苦手だ。
近所の男の子にからかわれて、復讐の為に後ろから蹴ったら泣き出して(ああ、やりすぎたかな)って思った。そんな些細な事は覚えている。それから山の風景。私の住んでいる町は山に囲まれていた。私が何かで、多分喧嘩して、泣き腫らした時に見上げたら山があった。(ああ、山は大きいなあ。私はちっさいなあ)って思ったのを覚えている。
お姉ちゃんは…天使のような人だった。私は人並みにやんちゃしたり、勉強したり、色々していたけどお姉ちゃんはいつも静かだった。まわりに清浄で透明な空気を纏っているようだった。
お姉ちゃんは、お父さんとお母さんからもいつも褒められていた。
「舞はいい子ね」
お母さんはよく言っていた。
「佐知、舞を見習いなさい。おとなしくしなさい」
お父さんもそんな風によく言っていた。
お姉ちゃんに嫉妬した頃もあった。(どうしていつもお姉ちゃんばっかり? どうして、どうして?) だけど、憎しみは長く続かなかった。お姉ちゃんは私の感情もよくわかっていて、そういう時にはいつもより一段と優しくなった。
「佐知、一緒にアイス食べよ」
そんな事を言って、カップアイスを半分つづ食べたりした。夏だった。お姉ちゃんは汗をかかなかった。今思えば、お姉ちゃんがどうして汗をかかなかったか、少しは考えるべきだったかもしれない。




