ツナギの男
超短い上にほぼアレですし、アレな展開にはなりません。
それでもイイと言って下さる方はどうぞ。
季節は春。
この春、僕は大学生になれた。
そしてその大学は東京にあって、実家から遠いという理由もあって、僕は大学近くのバス停1つ2つ分しか離れていないアパートで一人暮らしになった。
そのアパートに近いバス停で降りる。
降りてすぐ見えるのは、野球やサッカーが出来る大きな広さを持つ公園。
この公園を突っ切れば、借りたアパートは目の前だ。
アパートは親と仲のいい親戚が持っているアパートで、コネによって運良く格安で貸してくれた最高の物件だ。
「新生活……楽しみだなぁ」
これからの東京での大学生生活に期待て胸を膨らませ、両足に気合を込めた。
〜〜〜〜〜〜
公園を突っ切っている時に、設置されているベンチに気付いて「ハッ!」となった。
そのベンチには、一人の男が偉そうな態度で座っていた。
それなら別に「ハッ!」となるほどの反応にはならない。
ではなぜ「ハッ!」となったのかと言えば、その男がツナギ姿の男だったからだ。
…………いや精確に言うならば、髪の毛を短く切りそろえた爽やかなイイ男の、薄いブルーベリーみたいな色をしたツナギのファスナーが開いていて胸元が丸見えだったからだ。
もっと言えば、その空いた胸元からはインナーが見えずに、どうにも裸でツナギを着ている様に見えるからだ。
その男に気付いてしまった僕は、足を止めた……いや、止まってしまった。
向こうはそんな僕に気付いたのだろう。
僕に向けてとても妖しい笑顔を投げかけ、ファスナーを更にゆっくり下ろして行く。
…………なぜ僕はこんな光景を見て足が止まったままなのだろうか。
そんな困惑を他所に、僕の視線は目の前のファスナーに釘付けになっていた。
ゆっくり下りるファスナーがヘソまでもうすぐとなった所で、ツナギの男が言葉を発した。
「ヤバないか?」
それに僕は、
「凄く…………同感です」
思いっきり同意していた。
僕「ふざけてアレを再現して遊ぼうと言ってみた事を後悔してる」
ツナギ「酔った勢いとはいえ、なんでこんな遊びに乗っかったのか本当に分からない」
僕「たしか……新歓の余興動画を作るって話で、その相談で使ってた飲み屋の中で楽器のバラライカのトリビアを話すやつが出て来て」
ツナギ「やめろ……思い出させるな」
僕「こっちだって被害者だっての」
カメラ「おーい、どうしたー? 撮り直しすんぞー」
僕&ツ「やりたくない……」