紅いチェリーを御姉様の深紅の唇から口移しで。
私には、7つ上の御姉様がいる。
聡明で誰よりも気高く、深紅色がよく似合う美しい私の自慢の御姉様…ネフェル御姉様。
私はそんな御姉様が…大好き。
そして、御姉様も私のことを深くふかく愛している…
「リル、真っ赤で可愛らしいチェリーを御母様からいただいてきたわ。一緒に食べましょ」
まるで、満開に花ひらく深紅の薔薇のようなドレスを揺らしながら、御姉様は真っ赤なチェリーが沢山載ったお皿を持ってきた。
「さっきひとつつまんだのだけど、甘酸っぱくて美味しいのよ。でも、種があるから私が種をとってリルに食べさせてあげる」
そう言って御姉様は、白く細い指先でチェリーの茎をひとつ摘まみ、つるりとした紅く丸いチェリーを、紅くぷるりとした唇ではむりと咥えると。
プ、ツッ…
茎から、チェリーを切り離した。
紅く美しい御姉様の唇に挟まれる、紅くて艶やかなチェリー。茎の取れたところからだろうか、チェリーの甘くて酸っぱい果汁の香りが、私と御姉様の間に漂った。
御姉様は茎からチェリーを切り離すと、舌でそのチェリーを口内に引き寄せ、ゆっくりと咀嚼した。御姉様が咀嚼する度、私と御姉様の間に広がるチェリーの香りが、甘く濃くなってゆく…
つうっ…と、御姉様の唇の端から滴る、血液のような紅。その液体からは、チェリーの濃い甘い匂いがした。
御姉様は唇の端からチェリーの液体を滴らせながら、私の顔の直ぐ傍に唇を寄せた。視界いっぱいに広がる、御姉様の美しいお顔。実の妹の私が息を飲むほどの美しさ。これが、殿方なら窒息死ものでしょう。
でも、御姉様のこの美しさを目の前で見れるのは私だけで充分。殿方は知らなくていい。
殿方だけじゃない…どこぞの姫君も親族も、私以外の誰かは知らなくていい。
美しい私の自慢の御姉様。
御姉様の真の美しさを見れるのは私だけ。
私だけのものよ。
御姉様は口内でチェリーを噛み潰すと、細く美しい掌で私の頬をやさしく包み──にこり、と目を細めて微笑んだ。
そして。
──────────くちゅっ。
甘い舌と香りが、私の口内に入ってきた。
「んぅ……っ」
「ん…ふふっ」
甘酸っぱいチェリーが、口内に広がる。
御姉様は種を取ったチェリーの実を私の舌の上に載せながら、とろりとろりと果汁も一緒に、私の口内に流し入れた。
あまい…あまい…チェリー…
こんなに美味しいチェリーを食したのは、生まれて初めてだった。
─────────ちゅぷっ。
ふるん…と、やわらかな御姉様の唇が、湿った音をたてながら私の唇からゆっくりと離れた。
ああ…もっともっと、この甘美なチェリーを味わっていたい。私は少し残念に思いながら、私の顔のそばでやさしく微笑む御姉様を見つめていた。
「─どう、美味しいでしょ?」
「はい、こんなに美味しいチェリーは初めてです」
「…じゃあ、もっともっと食べる?私がお口で種を取ってあげるわよ」
「ほんと?沢山食べたいです…御姉様の唇から」
「ふふっ、いいわよ…なら、このお皿の上にある全部を貴女に口移してあげるわ…」
くすくすと微笑むと、御姉様はまたチェリーを噛み潰しそして。
「んっ…」
「………」
御姉様は私の身体を抱き寄せた。ドレスから覗く白くてやわらかな御姉様のふたつの果実を私の身体に押しつけながら、噛み潰したチェリーの実を載せた舌を、私の口内にぬるぬると入れた───────